企業が取り組むべきSDGsとは?社会課題の解決にまずやるべきことを解説

2015年の国連サミットで採択され、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された目標であるSDGs。2030年までに、17の達成すべき目標を掲げ、世界中でさまざまな取り組みが行われています。ただ、国際的な達成目標というと、一企業には関係ないことと考えがちです。しかし、一企業が始めたことがやがて大きな波となり、多くの企業を巻き込んだ「うねり」となっていく可能性もあるため、まずは自分たちが一歩を踏み出す必要があります。今回は、SDGsの目標達成に向け、企業ができること、やるべきことについてお伝えします。
<CONTENTS>
企業のSDGsは、すぐに取り組めるものから始めるのがポイント
企業が取り組むべきSDGsとは?
SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略称で、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されます。SDGsとして盛り込まれた達成すべき17の目標は、大きく4つに分けられています。「社会」「経済」「環境」の3つの分野に加えて、さらにそれぞれの分野と横断的に関わる「枠組み」の4つとなります。
3つの分野と横断的に関わる枠組みをさらに細かく見ていくと、それぞれのキーワードは次の通りです。
- 社会
- 貧困をなくそう
- 飢餓をゼロに
- すべての人に健康と福祉を
- 質の高い教育をみんなに
- ジェンダー平等を実現しよう
- 安全な水とトイレを世界中に
- 経済
- エネルギーをみんなにそしてクリーンに
- 働きがいも経済成長も
- 産業と技術革新の基盤をつくろう
- 人や国の不平等をなくそう
- 住み続けられるまちづくりを
- つくる責任つかう責任
- 環境
- 気候変動に具体的な対策を
- 海の豊かさを守ろう
- 陸の豊かさも守ろう
- 枠組み
- 平和と公正をすべての人に
- パートナーシップで目標を達成しよう
企業としては、経済発展はもちろん、社会が抱えるさまざまな問題の解決や環境問題への対応など、すべての分野において関わりがあります。このなかで、企業が取り組むべき施策は少なくありません。
ポイントは自社だけの繁栄を目指すものではなく、各企業が経済や環境など社外の問題に対しても自らが行動を起こし、社会の変革を目指す点です。企業規模によってできることは異なりますが、それぞれの規模に合わせた行動が、やがては世界を変えていくというビジョンを持ち、取り組んでいくことが重要です。
企業がSDGsに取り組むべき理由
雇用や格差問題、経済成長などは企業として取り組む必要があると認識しやすいものの、社会や環境に対する取り組みがなぜ必要なのかと思われるかもしれません。しかし、これからの企業にはこうした取り組みに対するメッセージが欠かせないものとなるはずです。その理由は次の通りです。
企業としての目的を果たせる
一般的に企業は、商品やサービスの提供により、顧客や市場からの満足を獲得し、持続的な成長を続けることを目的としています。しかし、今後は利益追求だけではなく、商品やサービスの提供で得た利益を使って環境保全や経済発展など社会的責任を果たすべき存在にもなることが求められています。
SDGsへの取り組みは、環境保全や経済発展にもつながるものであり、企業としての目的を果たすうえで欠かせないものといえます。つまり、SDGsへの取り組みは企業としての社会的責任を果たすことでもあるのです。
従業員の士気を高められる
自身の仕事や発信するメッセージが利益向上だけではなく、環境保全や社会問題の解決につながると思えば、仕事に対する士気もより高められるようになるでしょう。自身の仕事が社会貢献になっているというモチベーションが質の高い商品やサービスの改善にも生かされ、企業として大きな成果につながる可能性も高まります。
新たなビジネスチャンスが広がる可能性がある
SDGsの掲げる目標はどれも一朝一夕で達成できるものではありません。そのため、これまでであれば関わることのなかった企業や団体との協業を打ち出すケースも増えるでしょう。
新たな出会いが新たなビジネスを生み出す可能性も高まり、結果としてSDGsへの取り組みが新たなビジネスチャンスの拡大につながるかもしれません。そして、新たなビジネスが生まれれば、雇用拡大のきっかけになり、経済問題の解決にもつながります。
ビジネスがやりやすくなる
今後、SDGsを推進している企業や団体は、同様にSDGsを推進する企業と積極的に取引を行い、逆にSDGs推進に積極的ではない企業は敬遠されるようになるでしょう。そのため、SDGsへの取り組み強化がビジネスをスムーズに進めるためのポイントにもなります。
企業イメージの向上につながる
今後、SDGsに積極的に取り組んでいるかどうかで商品やサービスの選択をする顧客や取引先が増える可能性もあります。また、就職活動で企業を選ぶときの条件にSDGsへの取り組みを重視する学生も増えるかもしれません。
従業員が社会貢献に積極的で士気が高い企業は、対外的な企業イメージの向上につながり、顧客や取引先、就職活動を行う学生にとって憧れの企業になれる可能性も高まるでしょう。
企業がすぐに取り組めるSDGsとは?
企業にとってさまざまな効果を生み出すSDGsですが、何から取り組めばよいかがわからずに二の足を踏んでしまう企業も多いのではないでしょうか。社会や環境問題への対応と考えるとどうしても主語が大きく、自社では何もできないのではと思ってしまうでしょう。そこで、企業規模に関わらず比較的すぐに取り組めるSDGsについて説明します。
SDGsに関する勉強会の実施
SDGsへの取り組みは、トップマネジメントが大きく目標を掲げても現場の従業員が動かなければ達成はできません。そのため、まずはSDGsを全従業員がしっかりと理解するための勉強会を実施します。
なぜ、自社がSDGsに取り組むのか、その取り組みによって社会にどう貢献できるのかを従業員一人ひとりが強く意識できる環境を構築することが重要です。
勉強会での理解を深めた後、事業活動のなかで実行しやすいSDGsへの取り組みを紹介します。
学習機会の提供
すべての従業員に対し、仕事に関わる技術や職業的なスキル獲得のための学習機会を提供します。資格取得や技能習得などでの学習機会を増やせば、SDGsの目標である、「質の高い教育の提供」や「働きがいや経済成長」の実現につながるでしょう。
テレワークの導入
テレワークの導入は、身体障がい者や育児、介護でオフィスへの出社が難しい人材の雇用に大きく貢献します。また、いつでもどこでも仕事ができる体制が整えば、場所にこだわらない雇用が可能になり、地方にいる人材の新たな雇用創出にもつながるでしょう。
SDGsにつながるペーパーレス化への取り組み
上記にあげた技能やスキル獲得機会の提供、テレワークの導入は、SDGsの取り組みとして比較的始めやすい施策といえます。そして、もう一つ重要かつ取り組みをしやすい施策として挙げられるのがペーパーレス化です。
ペーパーレス化がSDGsに欠かせない理由
ペーパーレス化を実現させれば、紙の原材料である木材の伐採量を軽減できます。これにより、「天然資源の持続可能な管理」「廃棄物発生の防止、削減」「気候変動の緩和」「森林の持続可能な経営の実施」「自然環境の保全」など多くのSDGsの目標実現を可能にします。
また、テレワークの導入はペーパーレス化が必須のため、スムーズなテレワークの導入にもつながります。
ペーパーレス化にはほかにもさまざまなメリットがあります。詳しくはブログ記事の「「手段」であって「目的」ではないペーパーレス化 企業が得られる最大のメリットは?」をご覧ください。
スムーズにペーパーレス化を進める3つのポイント
では、ペーパーレス化をスムーズに進めるにはどうすべきでしょうか。ポイントは、「現状把握」「段階的導入」「専門業者への依頼」の3点です。
- 現状把握
紙の資料や文書を使っていて滞りがちな業務を把握します。「社内稟議の承認作業がなかなか進まない」「営業報告書を提出するために取引先から直帰できない」など、電子データにすれば解決する課題を抽出しましょう。 - 段階的導入
ペーパーレス化は一気に進めようと思うと手間が増えたり、コストがかかったりで頓挫してしまうリスクがあります。まずは、段階的に進めていき、様子を見ながら拡大していくとよいでしょう。
特におすすめの方法は、現状の課題に優先順位をつけることです。すべての課題を並列にしてしまうと、何から手をつければよいかわからず、いつまでたってもペーパーレス化は進みません。もっとも業務が滞る要因となる課題は何かを見極め、ペーパーレス化を進める優先順位を決めましょう。
また、一つの部署、チームから始めていく方法も効率的にペーパーレス化を進めていけます。優先順位の高い課題が多くある部署やチームのみでペーパーレス化を進め、様子を見ながら部署、チーム単位でペーパーレス化を拡大していけば、スムーズに進めていけるでしょう。 - 専門業者への依頼
紙文書の整理は専門業者に任せたほうがスムーズに進むケースが少なくありません。経験豊富な専門業者に相談しながら進めると、無駄な手間が削減され、短時間でペーパーレス化が実現する可能性が高まります。特に課題は抽出できても、自分たちで優先順位をつけるのが難しい場合があるため、外部から客観的なアドバイスを得て進めたほうがトラブルなく進められるでしょう。
企業のSDGsは、すぐに取り組めるものから始めるのがポイント
企業規模にかかわらずSDGsに取り組む企業が増えています。社会や環境問題を自分たちの問題と捉え、企業として真摯に向き合っていくことが求められますが、一つひとつの取り組みは決して難しいものではありません。
ポイントは全従業員が自分ごととして意識できるよう、SDGsをしっかりと理解し、すぐに取り掛かれるものから始めることで、第一歩としておすすめなのがペーパーレス化です。
単純に紙の電子化として考えればSDGsにはつながらないと思われるかもしれません。しかし、「天然資源の持続可能な管理」「気候変動の緩和」など自然環境保護やテレワーク、ハイブリッドワークなど多様な働き方にも高い効果を発揮します。
NTT印刷では、スムーズなペーパーレス化の実現を豊富な経験からアドバイスと実践でお手伝いします。SDGsに関心はあるものの、何から始めるべきかでお悩みであれば、ぜひお気軽にご相談ください。
参考:
- SDGsとはなに?企業が取り組むべき理由や事例を紹介|JMAM
- 企業がSDGsにいま取り組むべき理由を解説|SDGs media
- SDGsとは?17の目標内容と日本の政府・企業の取り組みを徹底解説|SDGs media
- SDGs(持続可能な開発目標)17目標と169ターゲットの詳細解説|SDGs media
- 持続可能な未来に選ばれるのは、持続可能なビジネス|講談社SDGs
- SDGsの取り組み事例51選|企業と個人の事例を17のゴール別に徹底網羅|SDGs CONNECT
- 企業の定義とは?会社や法人との違いもわかりやすく解説!|ハタラクティブ
- ペーパーレスの実現でSDGsに貢献できる?実施する際のポイント|KYOCERA
- 「手段」であって「目的」ではないペーパーレス化 企業が得られる最大のメリットは?|まるごと電子化
- 電子化できる書類とできない書類、e-文書法と電子帳簿保存法との違いを解説|まるごと電子化
- 電子帳簿保存法改正により変わるタイムスタンプ要件の緩和を解説|まるごと電子化
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