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2021年度の電子帳簿保存法改正によりチャンスが拡がる経理部門のDX化

2021年度の電子帳簿保存法改正によりチャンスが拡がる経理部門のDX化

企業のペーパーレス化を進め、業務効率化や生産性向上以外にも在宅勤務、モバイルワークなど多様な働き方の実現にもつながる、電子帳簿保存法。2021年度の税制改正により、2022年1月からスキャニング保存要件の大幅緩和が実現します。これまでの電子帳簿保存法では、承認手続きの手間や複雑な制度などもあり、実際に税務関係書類のスキャニング保存を行う企業はそれほど多くありませんでした。今回は、新たな法改正により何が緩和されたのか、そして緩和されたことで経理部門にどういった変化が生まれるのかについて見ていきましょう。

2021年度の電子帳簿保存法改正とは?

2021年の税制改正を受け、2022年1月に新たに施行される電子帳簿保存法。まずは、そもそも、電子帳簿保存法とはどういったもので、なぜ、改正が行われたのかについて説明します。

電子帳簿保存法の概要

電子帳簿保存法(正式名称は、「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」)とは、従来、紙での保存が義務付けられていた税務関係の帳簿、書類を、一定の条件を満たすことで電子データとして保存できるようにするための法律です。1998年に施行され、それから何回かの改正を経て、現在に至っています。

スキャナ保存に関しては、今回は5回目の改正になります。

2005年の法改正では、スキャナによる電磁的記録の保存が初めて認められました。その後2015年の改正では、対象となる国税関係書類の拡充やスキャナ保存の要件が緩和され、2016年には「原稿台と一体型に限る」とされていた要件が廃止されるなど、より時代に即した使いやすい制度に改めるべく努力が重ねられてきました。

4回目の要件緩和となった2019年の法改正では、対象書類の範囲拡大や運用上の見直しがなされ、今回の2021年度の改正へと続いていきます。

思うように進まない税務関係書類のスキャナ保存

上述したようにこの法律は何度も法改正が行われ、特に税務関係書類のスキャニング保存に関しては、4回の要件緩和にもかかわらず保存件数が思ったほど伸びていません。

国税庁が発表した、「税務統計(令和元年=2019年度)」によると、電子帳簿の承認件数は272,449件。一方、スキャナ保存の件数は、4,041件にとどまっています。

2022年1月に施行される改正電子帳簿保存法のポイント

2022年1月に改正され施行される電子帳簿保存法。これまでに比べ何が変わったのか、ポイントは次の4点です。

1.電子帳簿保存法承認制度の廃止

これまで電子データ保存を行う際に必要であった所轄の税務署への申請(導入を希望する3ヶ月前まで)が廃止。改正後は、国が求める基準をクリアし電子帳簿保存法に対応した機能をもつスキャナ・会計システムがあれば、届け出をしなくてもすぐに電子データとしての保存が可能です。

2.タイムスタンプ要件の緩和

タイムスタンプ付与期間の延長、一定の条件を果たせばタイムスタンプを付与しない状態でのクラウド保存も可能です。従来は、タイムスタンプ付与の期限は受領後3日以内でしたが、これが最長2ヶ月以内まで延長。これにより、経理担当者が慌ててタイムスタンプを付与する必要がなくなります。また、スキャナ読み取りの際に必要であった受領者の署名も不要になり、経理業務の負担軽減が実現します。

3.適正事務処理要件の廃止

従来、相互チェックのため、2名による定期検査が必要でしたが、改正後は、1名での対応を可能にしたうえ、定期検査を待たずにスキャナで電子データに変換し、原本を廃棄することも可能です。

4.検索要件の緩和

これまでは、電子データを管理する際、詳細な検索機能をもったシステムが必要でしたが、今回の改正により、検索要件が「年月日」「金額」「取引先」の3つだけに簡略化されたため、担当者の負担軽減に加えシステム構築や運用にかかるコストも大幅に削減できます。

これまでは、電子データの管理はもちろん、電子データにするまでにもさまざまな承認作業や手続きに忙殺されていました。今回の法改正でそれらの手間が軽減されれば、経理担当者はより生産性の高い業務に集中できるようになり、経理部門でのDXを進めていくきっかけにもなるでしょう。

経理部門の負担軽減によりDX化を進めていくためのポイント

電子帳簿保存法改正により、経理部門の負担は大きく軽減されます。この負担解消を契機にDXを推進させていくためには、どういった点に気をつけるべきなのでしょう? そのポイントとなるのは次の2点です。

1.税務関係書類の電子化と業務効率化を同時に進める

電子帳簿を自社に導入するには、当然ながら税務関係書類の電子化が欠かせません。今回の改正で経理の負担を軽減させるため、スピーディーに税務関係書類の電子化を進めていきましょう。そして、同時に行わなくてはならないのが経理業務の効率化です。

税務関係書類の電子化だけでも効率化は大きく進みますが、単純に電子化するだけでは、本当の意味での効率化にはつながりません。例えば、毎月発生する請求書作成業務、給与計算業務などを手動で行っているようでは、電子化を進めても効率化は効果が限定的なものになってしまうでしょう。

そこで、経理管理ツールを導入し、経理業務の効率化を電子化と同時に進めていきます。これにより、これまで多くの時間と手間をかけて行ってきた経理業務の効率化が可能になります。

また、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を導入すれば、経理業務単体ではなく、例えば、「営業部の従業員による経費の領収書管理」「全社で行う勤怠管理ツールでの残業計算」などと連携しての自動化が実現します。部門を越えた連携により、経理業務のDX化が現実のものとなっていきます。

2.企業経営に必要なデータ作成、管理を行う

税務関係書類の電子化やツール導入による業務の効率化は、DXを進めていくうえで欠かせない要素です。しかし、業務効率化が果たせればDXが成功かといえばそうではありません。そこで、重要になってくるのが、経理面からの企業経営への参画です。

例えば、税務関係書類の電子化とツール導入により、これまでよりも早い段階での月次決算も可能になります。月次決算が早くなれば、その分経営判断も早くなるため、競合との差別化、優位性の確保に大きく貢献できるでしょう。

より戦略的な経営を実現するには、企業経営に経理が積極的に関わっていくことが欠かせません。そうした意味でも税務関係書類の電子化は、必ずツールの導入を含めた経理業務の効率化とセットでの実施が重要なポイントとなります。

税務関係書類の電子化には、NTT印刷の「帳票類デジタル化ソリューション」の導入がおすすめ

これまでにも何度かの法改正で電子帳簿の作成やスキャナ保存の要件は緩和されてきました。しかし、それでも現状多くの企業が税務関係書類の電子化には手をつけていない状況です。ただ、2021年の法改正により、要件が大幅に緩和されることから、今後は電子化を進める企業も増加すると予測できます。

そこで、単純に電子化を進めたとしても、競合との差別化は難しいでしょう。経理は企業経営にとっても非常に重要な部分を担っているため、今回の法改正をチャンスととらえ、経理部門のDX化をおすすめします。

その第一歩となるのが、税務関係書類の電子化であり、電子化したデータの活用です。NTT印刷の「帳票類デジタル化ソリューション」では、領収書や請求書をスキャニングするだけでなく、AI-OCR(人工知能を活用した光学文字認識技術)にて読み込んだ領収書データ・請求書データの自社システムへのデータ利活用を推進します。経理部門の効率化、DX化を検討している際は、ぜひご相談ください。

 

参照サイト:

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