ブログ

ペーパーレス化のメリットと促進するうえで知っておきたいe-文書法を解説

ペーパーレス化のメリットと促進するうえで知っておきたいe-文書法を解説

業務効率化やコスト削減など多くのメリットがあるペーパーレス化。しかし、文書によっては電子データでの保管や保存が認められていないものもあり、やみくもに電子化を進めても思ったような成果は得られません。今回は、ペーパーレス化の促進に欠かせないe-文書法の概要から、ペーパーレス化の具体的なメリットや手順についてお伝えします。


<CONTENTS>

 ペーパーレス化を進めるために知っておくべきe-文書法とは?

 文書を電子保存するための4つの要件

 書類を電子化することで得られるメリット

 紙の書類を電子化する際は専門家に依頼するのがおすすめ


ペーパーレス化を進めるために知っておくべきe-文書法とは?

昨今、社内のペーパーレス化を進める企業が増加しています。ペーパーロジック株式会社が今年1月に発表した、東京都に本社を置く企業を対象とする調査では、「2020年に社内のペーパーレス化を推進したか」の問いに対し、「積極的に行った(36.1%)」「ある程度行った(39.6%)」と、合わせて75.7%が、「社内のペーパーレス化を推進した」と回答しています。

このように、程度の差はあるものの、多くの企業でペーパーレス化が進んでいると考えられます。ただ、ペーパーレス化を推進するにあたって必ず押さえるべき法律である、e-文書法の内容までは詳しく知らないという方もいるかもしれません。

そもそも、e-文書法とは、次の2つの法律を包括したものの通称です。

  1. 民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律
  2. 民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律

電子帳簿保存法が1998年に施行され、従来、紙での保存が義務付けられていた国税関係書類の電子保存が認められるようになったことを契機に、企業のペーパーレス化が進展していきました。その後、2005年4月から施行された上記の2法(つまりe-文書法)では、契約書、領収書、請求書といった国税関係書類のほかにも、紙カルテ、紹介状、同意書といった医療情報システムに関する書類や、建築図面も含まれるようになるなど、年々より使い勝手のよい法律へと見直しが進められています。

なお、国税関係帳簿書類のうち、総勘定元帳や仕訳帳、貸借対照表などの書類については、会計システムなどを利用して最初から電子作成している場合に限り電子保管が認められます。紙で出力した後のスキャニング保存は認められていません。ほかにも、免許証や許可証など現物性が高いものもe-文書法の対象外です。

文書を電子保存するための4つの要件

e-文書法でほとんどの書類が電子化できるようになったとはいえ、一定の要件を満たさないと電子化は認められません。e-文書法では、書類の原本性を確実なものとするために必要な4つの要件があります。

  1. 見読性(可視性)
    パソコンやプリンターを通し、明瞭に確認できなくてはなりません。

  2. 完全性
    電子化し、保存したデータが消失・破損してしまわないよう、十分な対策が講じられている必要があります。また、スキャニング保存した領収書のように原本ではないものの場合、原本受領からスキャニング保存までの工程、スキャンされた画像の品質、改ざんや消去といった細工がされていないかどうかを確認できるようにしておかなくてはなりません。

  3. 機密性
    外部や内部からの不正アクセスを防ぎ、社内でも許可された者だけが保存されたデータにアクセスできるように機密性の保持がなされていなければなりません。

  4. 検索性
    社内もしくは税務署から指示があった際、必要なデータをすぐに探し出せるよう、検索性が保持されていなければなりません。例えば、電子化された文書のフォルダ名やタイトル、日付などの並びを統一させ、誰が検索してもすぐに当該の文書を見つけられるよう、ルールの徹底が求められます。

書類を電子化することで得られるメリット

書類を電子化し、ペーパーレス化を進める企業が増加しているのは、企業にとってさまざまなメリットが生まれるからです。特に次の5点に関しては大きなメリットとなるため、電子化を進める企業がさらに増加すると考えられます。

  • 保存コストの削減
    紙の書類が電子化されると、印刷、保管、運搬などのコストや人件費が大幅に削減されます。また、業務上はほとんど使わないものの、一定年数は保存しておかなくてはならない請求書や領収書などを入れておくキャビネットを確保する必要がなくなり、オフィスの省スペース化が実現します。また、オフィスの省スペースだけでなく、フリーアドレスなど時代に即したオフィスレイアウトを取り入れたり、従業員の交流を図るためのカフェスペースやミーティングルームにしたりといった有効活用も可能になります。

  • 生産性の向上
    電子データは紙の書類に比べ、検索性や参照性に優れています。そのため、ファイル名や文書のタイトルなど保管時のルールを統一すれば、紙の書類を探し出すための多くの時間を要することもなくなるでしょう。
    また、在宅時や外出先からでもデータにアクセス可能になり、わざわざ出社して書類を確認する手間もかからなくなります。取引先や顧客に対しても、書類を郵送する手間や時間が短縮され、結果として生産性の向上が実現します。

  • 多様な働き方の実現
    現在、少子高齢化の影響もあり、多くの企業で人材不足が慢性化しています。これまでであれば育児や介護などで退職せざるを得なかった従業員の離職対策としてテレワークを導入する企業が増加しています。また、2020年以降は新型コロナウイルス感染拡大の防止対策もあり、多くの企業でテレワークが新たな働き方のひとつとして定着しつつあります。
    しかし、テレワークにはいくつかの課題があり、導入に二の足を踏む企業もまた少なくありません。その課題のひとつが、紙の書類の確認・押印のためにオフィスに出社しなくてはならないことです。ただ、これもペーパーレス化が進めば、わざわざオフィスに出社する必要がなくなり、テレワークの導入が進むとみられます。その結果、従業員の多様な働き方が実現するでしょう。

  • BCP(事業継続計画)対策につながる
    紙の書類は、火災や地震などの自然災害で紛失、破損のリスクがあります。また、一か所にまとめて保存すると、災害によってすべてを失ってしまう場合も考えられます。これに対し、電子データであれば、クラウド上に保存されるため、災害による紛失、破損リスクの軽減が実現し、BCP対策として大きな効果が見込めます。

  • 環境への配慮で企業価値が向上する
    ペーパーレス化が進めば、紙の使用量が大幅に削減されます。SDGs(持続可能な開発目標)への取り組みが注目されるなか、企業価値の向上に期待がもてます。

紙の書類を電子化する際は専門家に依頼するのがおすすめ

紙書類の電子化は、「生産性向上」「コスト低減」「多様な働き方の実現」「BCP対策」など多くのメリットを生み出します。特に多様な働き方の実現は、今後、新たな人材を雇用する際のアピールにもなるため、より大きなメリットにつながるでしょう。

ただし、やみくもに電子化を進めても期待できるような効果が見られない場合もあります。そうした意味でe-文書法の理解は欠かせません。また、業務内容によっては、電子化する書類の見極めも難しく、そこに時間をかけるとかえって業務が滞ってしまいます。

NTT印刷の、「紙文書削減ソリューション」では、電子化する書類を見極める際のアドバイスはもちろん、原稿の整理やスキャニング、紙文書の保管や廃棄までトータルで専門家がサポートします。

紙書類の電子化を進め、ペーパーレス化を促進する際には、ぜひご相談ください。

 

参照サイト:

 

業務効率化・働き方改革のお役立ち資料

関連記事