業務の電子化がペーパーレスの効果を向上させる

少子高齢化の影響もあり、多くの業種で人材不足が顕著になりつつあります。限られた人材で業務を回すには、効率化が欠かせません。その施策のひとつがペーパーレス化の推進です。しかし、ペーパーレス化はやみくもに取り組んでも、コストがかかるだけでかえって非効率になってしまう場合もあります。そこで、今回はペーパーレス化によって得られるメリットを見たうえで、ペーパーレス化が必要な業務とそうでない業務に切り分ける重要性についてお伝えします。
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紙業務の電子化を実現し、業務効率化を果たす紙文書削減ソリューション
業務の非効率化の要因となる紙資料の山
環境への配慮やIT化に伴い、企業で使用する紙資料は年々減少する傾向にあります。日本製紙連合会によると、企業で主に利用される「印刷・情報用紙」の需要は、1990年の923万9千トンから2019年には772万7千トンにまで減少しています。
しかし、実際にペーパーレス化をすすめている企業はまだ全体の60.4%(総務省(2020)「デジタルデータの経済的価値の計測と活用の現状に関する調査研究」調べ)にとどまっています。しかも、そのうち直近3年以内に実施したのはわずか18%であり、「働き方改革」が叫ばれるなかでもそれほど普及していないことが推察できます。
「これまで紙資料で業務を行っていたため、特にペーパーレス化の必要性を感じない」「ペーパーレス化に移行するためのコストがかかる」など、ペーパーレス化が進まない理由はいくつかあるでしょう。しかし、ペーパーレス化を実施しないと、以下のような業務の非効率化が増えてしまうかもしれません。
- 目的の資料を探すのに時間がかかる
例えば、「半年前に一回だけ取引をした企業の請求書」「1年前にプレゼンをした際に使用したデータや資料」など日常的に活用しない資料は、紙資料で保管するとすぐに見つけ出すのに時間がかかる場合があります。簡単に見つからなければそれだけ業務は滞り、非効率になりがちです。
- 取引先とのやり取りが増えてしまう
紙で契約業務を行う場合、自社で契約書の作成、押印、郵送した後、取引先が確認、押印し返送するといった手間がかかります。また、請求書発行の場合も、印刷、押印、折り畳み、封筒詰め、郵送と多くの手間をかけないと完結しません。特に毎月発生する請求書発行業務は、企業によってはそれだけで1日の業務が終わってしまう場合もあり、業務を効率化したいところです。
- 働き方改革が困難に
テレワークやフリーアドレスの導入といった多様な働き方の実現も困難にするなど、働き方改革を進める上で、弊害を生み出す可能性があります。
ペーパーレス化で得られるメリット
一方、紙資料のペーパーレス化で得られるメリットを見ていきましょう。
- 業務効率化の実現
ペーパーレス化でもっとも大きなメリットは業務効率の向上です。紙資料を電子化すると検索性が上がり、必要な資料に瞬時でアクセスできます。また、印刷や郵送といった手間がなくなるため、大幅な稼働削減効果が期待できるでしょう。
業績にかかわる資料がデータ化されれば、従来よりも迅速な経営判断が可能になるかもしれません。
- 多様な働き方の実現
オンライン上で業務データにアクセスできれば、リモートワークのほか、サテライトオフィス、コワーキングスペース、リゾート地でのワーケーションなどオフィス以外でも業務が可能です。紙資料がなくなれば、個人の机で保管する資料が減り、フリーアドレスなど最新のオフィスレイアウトも実現できるかもしれません。空いたスペースをミーティングスペースや談話スペースにすれば、コミュニケーション活性化にも貢献します。
- コストの削減
印刷費や郵送費のほかに、テレワーク中の社員が資料の確認や押印のためだけに出社する、営業社員が取引先から帰社して日報を提出するなどの必要がなくなり、交通費の削減が期待できます。また、社内だけでは資料が保管しきれず外部に倉庫を借りている場合は、保管料も削減できます。
ペーパーレス化できる業務とできない業務を切り分ける重要性
さまざまなメリットを生み出すペーパーレス化ですが、すべての紙資料を電子化すれば業務効率が上がるかとはいえません。ペーパーレス化を進めても、業務自体が旧態依然のままでは効果は限定的でしょう。そこで重要となるのが、ペーパーレス化できる資料とできない資料の切り分け、そして業務自体の電子化です。ここでは、それぞれのポイントについて説明します。
ペーパーレス化できる資料とできない資料を切り分けるポイント
- 廃棄してもよい紙資料の切り分け
業務自体の電子化を検討する前にまず、そもそも電子化せずに廃棄してもよい紙資料を切り分けます。「何年も前に会議で使った資料・議事録」「廃番になった商品の見積書」「競合に負けたプレゼン資料」など、電子化する必要のない紙資料を切り分け、廃棄しましょう。
- ペーパーレス化に向いている資料の選定
廃棄する紙資料が決まったら、残った紙資料のなかでも、ペーパーレス化で効率が上がる業務や資料を選定します。例えば、「プロジェクトの進捗管理表」「日々の作業記録」「顧客管理台帳」「営業管理シート」のように頻繁に変更、追加があり、複数名で編集を行うことが多いものは、紙資料だと作業がしにくいものです。
ほかにも、「営業日報」や「業務マニュアル」といった外出先でも編集、閲覧が必要な資料もペーパーレス化に向いているといえるでしょう。
このように紙のままでは煩雑で手間がかかる業務、リアルタイムでの編集が多い資料、複数名や複数箇所からの編集、外部からの閲覧が多い資料などがペーパーレス化に向いている資料です。
業務の電子化を進めるポイント
ペーパーレス化と業務の電子化は、同時に進める必要があります。ポイントは以下の通りです。
- ツールの活用を進める
電子化した紙資料を保管する際、自社内のサーバーでは、外部からアクセスするためにVPN(仮想プライベートネットワーク)やVDI(仮想デスクトップインフラ)の面倒な設定が必要です。しかし、クラウドサービスを活用すれば、面倒な手間なくすぐにアクセス可能です。
ほかにも、例えば請求書を電子化したものの、電子印鑑の導入をしていないため、印刷して押印が必要とあっては意味がありません。業務の電子化にはそれぞれにふさわしいツールを選定し、使いこなすことが必要です。
- ツールの連携を進める
例えば、営業部と経理部で使っているツールが別会社のものでそれぞれが連携できず、営業部から提出された経費精算書を経理担当者が目視でチェックしなくてはならないとしたらどうでしょうか。業務の電子化がかえって余計な手間を増やすことになりかねません。こうした事態を防ぐには、各部署で連携が可能なツールを導入するか、既に導入している場合は、別会社のものでも連携が可能なRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入を検討するなど、ツールの連携を進める必要があります。
紙業務の電子化を実現し、業務効率化を果たす紙文書削減ソリューション
新型コロナウイルスの感染拡大もあり、テレワークは既に新たな働き方のひとつとして定着しようとしています。
テレワークなどの働き方改革を進めると同時に、人手不足を解消するための業務効率化の切り札となるのがペーパーレス化と業務の電子化です。どちらか片方に特化するのではなく、業務内容に合わせ、二つの対策をうまく対応させることが重要です。
ただ、ペーパーレス化や業務の電子化を自分たちだけでやろうとすると、何を廃棄するべきかの選択が難しいうえ、電子化の手間もかかります。ペーパーレス化に欠かせない廃棄する紙資料やペーパーレス化に向いた業務の電子化の選定は、専門家に依頼するのがおすすめです。具体的な方法にお悩みであれば、ぜひ、NTT印刷の「紙文書削減ソリューション」のご利用を検討されてみてはいかがでしょう。
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