RPA導入時のよくある5つの課題点と解決するための4つの方法

業務効率化や生産性向上を目的としてRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)導入を進める企業が増えています。その半面、検討段階や導入直後に課題にぶつかり、導入を断念してしまうケースも少なくありません。しかし、今後、少子高齢化により生産年齢人口の減少が確実となった日本において、少人数で最大の効果を上げるためにRPAが欠かせないツールになるのは間違いありません。そこで、今回はRPAの導入検討段階、導入直後に発生しがちな課題を挙げつつ、それぞれの解決方法について考察していきます。
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RPA導入検討時によく起こる課題とは?
少子高齢化による人員不足の解消やホワイトカラーの生産性向上に大きく貢献するRPAですが、検討時にさまざまな要因により導入を断念してしまったケースも少なくありません。
富士通Japan(旧:富士通マーケティング)が行った「RPA導入に関するアンケート調査結果にみる国内企業の導入状況(調査期間:2018年6月~7月)」によると、RPAの導入を阻害している要因について聞いたところ、多かった回答は、「ツールの選定ができていない」「対象業務が決まらない」「導入効果が説明できない」でした。これらの課題が上位に挙がる理由としては、次のような点が考えられます。
- ツールの選定ができていない
RPAの基本機能はおおむね決まっているものの、さまざまな種類があり、製品によってそれぞれに得意とするものが異なることから、どういった業務で利用するかが具体的に決まらないと最適な製品選択ができません。
- 対象業務が決まらない
RPAによって業務効率化や生産性向上ができる業務を把握していないため、どの業務にRPAを導入するべきか定められないケースです。業務フローの洗い出しが不十分、部署をまたいだ業務が多くそれぞれで連携がとれない、業務の可視化ができていないなどが考えられます。
- 導入効果が説明できない
RPA自体がまだ新しいツールで知識のある社員が少なく、実際の導入効果を経営層に説明できないケースも少なくありません。そのため、経営層が費用対効果を理解できず、導入を断念してしまうということが起こります。
これら、RPAの導入を阻害する要因とその理由の共通点は、現場の社員、経営層どちらもRPAに対する理解が進んでいない点が挙げられます。RPAが何を得意とし、どういった業務でどういった使い方ができるのかを、しっかりと理解していないことが、導入の妨げになっていると推測できます。
RPA導入直後によく起こる課題とは?
導入時の課題を解消したものの、RPAの利用を開始する時点でもいくつかの課題が発生する場合があります。ヒューマンリソシア株式会社が行った「RPA利用企業へのアンケート調査(調査期間:2019年8月~12月)」では、RPAの活用を阻害している要因について、多かった回答は、「スキルをもった人材の育成が難しい」「従業員の理解が得られない」「セキュリティ、内部統制の問題がある」でした。
また、日本CHO協会が行った「『RPAの導入と活用』に関するアンケート(2018年10月調査)」においても、「対象業務の選定」「開発人材不足・開発スキル不足」「運用や統制・ルール」が、導入時の課題として多く回答されています。これらの課題が発生してしまう現実的な理由としては、次のような点が考えられます。
- 開発人材不足、開発スキル不足
RPAは基本的にはプログラムの知識がなくても構築が可能ですが、RPAに行わせたい業務内容によっては、ある程度の知識や経験が必要です。しかし、多くの企業ではその人材が内部にいないため、プロジェクトが進まず、RPAの活用も頓挫してしまうようです。
- 運用や統制、ルールに関する問題がある
導入時の課題でも挙げられていたように、経営層と現場側の双方がRPAの特徴、機能をしっかりと理解していないため、リーダー不在となり、運用方法やルール策定が進まず効果的な活用ができなくなります。また、そうした人材がいたとしても、部署によってRPA導入に消極的な層が一定数いれば、統制がとれず、RPAの特徴である複数のツールをまたいだ活用ができません。その結果、RPAの効果が発揮されないまま活用されなくなってしまいます。
RPAは使い方により、企業活動に多くの効果を生み出すツールです。しかし、上述したような理由でRPAの活用範囲が限定的なものとなれば、投資に対する効果が想定よりも低くなります。その結果、RPAは費用対効果が良くないと判断され、導入はしたものの活用が進まない、もしくは従来の業務フローがそのまま残るといったケースも多いようです。
RPA導入、運用時の課題を解決する方法
RPAの導入、運用時の課題を解消し、効果を最大限に発揮させるにはどうすればよいのでしょう。ここでは、そのための4つのポイントを紹介します。
1.RPA導入のための組織づくり
企業規模や導入目的にもよりますが、基本的にRPAは全社規模で導入を進めていかなければ、効果的な活用は難しくなります。そのため、部署ごとによるボトムアップでは、なかなかうまく進まないケースが少なくありません。
そこで、RPAへの深い理解をもとに経営層が率先してリーダーを選出したうえで導入のための組織をつくり、運用統制、ルール策定などを行うことが必要です。
2.業務の洗い出しとスモールスタート
導入推進組織のもと、各部署の代表者がそれぞれの業務のなかでRPA導入によって効果があると思われるものを洗い出し、それぞれの作業フローを可視化させます。ただし、注意点は最初からすべての業務にRPAの導入を進めないことです。RPAに対しては、活用に対し積極的な層もあれば消極的、無関心な層も少なからず存在します。にもかかわらず、強引に導入を進めると反発を招くと同時に、社内の統制がとれず高い成果も見込めない可能性が高くなります。
そこで、まずは導入に積極的な層が多い部署から導入をはじめ、そこで効果検証を行いつつ、実績を積み上げていきます。あせらず、消極的、無関心な層を少しずつ巻き込んで活用の幅を広げていくとよいでしょう。
3.開発人材の育成
RPAの特徴のひとつとして、プログラミング知識がなくても簡単に開発が可能という点があります。しかし、部署をまたいだ業務や複雑なフローの自動化を実現するには、やはりある程度の知識が必要です。そこで、導入を進める段階で、開発のための人材育成も同時に必要となります。人材の育成により、開発が進まずに導入が頓挫するといったリスクが解消されます。
4.外部サービスの活用を検討する
これらの解決策をスムーズに進めていくには、社内だけでは難しい場合があります。その場合、導入から活用までをサポートしてくれる外部サービスの活用がおすすめです。多くの企業でRPAの導入が進んでいる今、導入の進まない状況が長引くと競合他社に後れをとってしまう可能性もあります。導入コストと勘案のうえ、よりスムーズな導入を進めるのであれば、外部サービスの活用も検討すべきでしょう。
RPAの効果的な導入、運用は外部サービスへの依頼がおすすめ
多くの企業が業務効率化、生産性向上を実現すべくRPAの導入を検討するも、いくつかの課題に阻まれ断念してしまうケースが少なくありません。しかし、RPAを効果的に活用している企業も増えているため、RPA導入の可否が今後の企業の成長を大きく左右する可能性も十分にありえます。
ただし、RPA自体がまだ、経営層はもちろん、社内の理解を進められないケースも多く、社内だけで解決するのは簡単ではありません。そこで、RPAの導入も含め、生産性向上、コスト削減を実現できる外部サービスの活用がおすすめです。NTT印刷の「まるごと電子化」では、文書の電子化からRPAを活用した業務効率化までのソリューションをまるごと提供しています。さらに、RPA導入に様々な課題を抱えている方向けに、「まるごとDXサポート」といったサービスも提供しています。RPA導入を検討されている際は、ぜひ、ご相談ください。
参照サイト:
- 「まるごとDXサポート」で始めよう DX対策|お役立ち資料|まるごと電子化
- まるごとDXサポート|サービス詳細|まるごと電子化
- RPA|サービス詳細|まるごと電子化
- 業務効率化にRPAを活用するポイント|お役立ち資料|まるごと電子化
- RPA導入に関するアンケート調査結果にみる国内企業の導入状況(調査結果)|富士通Japan(旧:富士通マーケティング)
- 「RPAの導入と活用」に関するアンケート|日本CHO協会
- 課題はRPAスキル人材の育成、業務効率化のためのRPA活用アンケート|BiZHiNT
- 【RPA導入になかなか踏み切れない方へ】RPA導入のメリットとデメリット、導入成功のポイントを解説|まるごと電子化