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新型コロナの影響で変化するオフィス移転ニーズの現状

新型コロナの影響で変化するオフィス移転ニーズの現状

これまでなかなか普及が進まなかったテレワーク(リモートワーク)。しかし、2020年4月、新型コロナウイルス感染拡大に伴い発令された緊急事態宣言により、多くの企業で導入が一気に進みました。テレワークの普及はこれまでの働き方を大きく変化させた一方で、オフィスの在り方についても見直すきっかけとなったのではないでしょうか。そこで、今回はテレワークの普及によって変わるオフィスの在り方やその価値観の変化についてお伝えします。

テレワークの普及が変えたオフィスの在り方

株式会社オフィスビル総合研究所が発表した「オフィスマーケット予測レポート(2020年第2四半期4-6月)」。これによると、東京都心5区(千代田区、中央区、港区、渋谷区、新宿区)の今後3年間の空室率は、1年後の2021年4-6月までに現在の0.9%から4.1%と大幅に上昇。しかし、それ以降は2022年に4.4%、2023年は4.6%と緩やかな上昇にとどまる見通しです。

コロナ禍が起きた2020~2021年にかけての0.9%から4.1%はかなり大幅な上昇ではあるものの、2008~2009年のリーマンショック後の空室率は8%前後であったため、それほどの打撃ではないと予測しています。ただし、今回の動きは、リーマンショック時の空室増加とは異なる点がひとつあります。それは、必ずしも業績悪化のためにオフィスを手放したことによる増加ではない点です。

その背景にあるのは、新型コロナウイルスの感染拡大防止対策として、テレワークやローテーション勤務を導入する企業が増加したことにあります。従来のオフィスほどの広さを必要としなくなり、移転するケースが増えています。もちろん、感染拡大防止の観点から見れば、社会的距離(ソーシャルディスタンス)を保てない安易なオフィス縮小はリスクが高いと言わざるを得ません。ただ、テレワークが定着すれば、必ずしも都心にオフィスを構える必要もなく、同じ広さで賃料の安い場所へ移転をするケースも考えられます。これも都心5区の空室率が増加している理由のひとつといえるでしょう。

新型コロナウイルス流行下で感染拡大防止対策は、オフィスで働くうえで欠かせないものとなりました。今後は「ニューノーマル」としてこの考え方が一般的なものとなっていく可能性は少なくありません。そうした意味でコロナ禍でのテレワーク導入は従来のオフィスの在り方を大きく変えるターニングポイントだといえるでしょう。

従来のテレワークはオフィスワークがあくまでも軸であり、在宅やサテライトオフィスはサブとしての扱いでした。しかし、コロナ禍以降は働き方が多様化するなかで、すべての業種とはいわないまでも、オフィスも自宅も目的によって利用する場所のひとつという考え方も見られるようになっています。

働き方の多様化によるオフィス移転ニーズの種類

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、オフィスに対する意識は変化しています。これは同時に、育児や介護などでオフィスに出社できない従業員が在宅、サテライトオフィスなどで業務ができるなど、働き方の多様化を実現するものです。それらを踏まえ、オフィス移転を検討する企業も増えつつあります。では、その際、どういった移転ニーズがあるのでしょう。具体的には次の5つのケースが考えられます。

 1.100%テレワーク化によるオフィス解約

在宅、サテライトオフィス、シェアスペースなどでのテレワークを100%導入し、オフィスを解約してしまうケース。

 2.複数拠点のひとつとしてオフィスを縮小移転する

企業として住所登記が必要なためオフィスは残すものの、打ち合わせや倉庫用途をメインとして、従業員の働き方の基本はテレワークとする。そのため、従来ほどの広さは必要なくなり、最低限必要な広さのあるオフィスに縮小移転するケース。

 3.従来のオフィスとしての機能を残しつつ縮小移転

テレワークではなくローテーション勤務を軸にするため、従来のオフィスとしての機能は残す。ただし、同時出社人数が減少するため、オフィスを縮小移転するケース。

 4.従来のオフィスとしての機能を残し、面積は変えずに移転

オフィスワークとテレワークを併用。従来のオフィスよりも出社人数は減るため、立地は現在より多少不便でもより賃料の安い場所に移転するケース。

 5.オフィス面積を拡大して移転

コロナ禍でも業績好調により人員が増加。テレワークを導入するものの、出社時のソーシャルディスタンスを保つため、オフィス面積を拡大して移転するケース。

まずはオフィス移転ありきで考えない

新型コロナウイルス感染拡大防止対策としてテレワークを導入する企業が増えたことで、これまでの「オフィスに出社して働かなくてはならない」という前提が大きく変わったのは間違いありません。また、上述したような目的で、オフィスの移転、縮小化を検討している企業も多いことでしょう。

ただ、オフィスの移転となるとコストや時間、手間がかかります。オフィスの解約や移転というドラスティックな判断を下す前に、シェアスペースなどを活用したオフィス分散化や、テレワークの導入といった場所にとらわれない働き方から試してみましょう。特に分散化は、多様な働き方を実現できるうえ、自然災害や緊急時のBCP(事業継続計画)対策としても有効です。

オフィス解約や移転ありきで考えると、新商品開発や新たな事業展開を行ううえで、Web上だけでは難しいコミュニケーションのために出社しようとしても、オフィスがない、もしくは小さくて使えないといったことにもなりかねません。

多様な働き方を実現するために欠かせないペーパーレス化

それぞれの企業の状況や目的により、テレワーク導入によるオフィスの解約や移転、分散化などを決めた際、もっとも重要なのは、どこであってもオフィスと同様の業務を行えるようにすることです。そのためには、次の3点がポイントになります。

 1.グループウェア、チャットツール、Web会議システムなどコミュニケーションツールの活用

離れた場所で業務をするうえで、常にコミュニケーションを欠かさないようにしないと、業務が滞る可能性が高まります。それを避けるには、Web上でコミュニケーションをとれるツールを活用します。

 2.自宅のネット環境の整備、デバイスの貸与、セキュリティ対策

自宅で作業を行う際、ネット環境が悪いと業務に支障をきたします。一般的に無線LANよりも有線LANのほうが途中で回線が切れるといったリスクは軽減します。家庭にネット回線を引いていないケースもあるため、自宅のネット環境整備が必要です。

また、セキュリティ対策を万全にしないと情報漏えいリスクが高まるため、個人所有のデバイスではなく、会社側からセキュリティ対策を施したデバイスを貸与します。また、セキュリティ教育の徹底も忘れてはなりません。

 3.資料、契約書、請求書などのペーパーレス化

オフィス外でもオフィス同様の業務をするうえで、資料、請求書、日報など紙文書のペーパーレス化は必須です。NTT印刷では、文書管理コンサルティングによる仕分け結果に基づき、オフィス移転やフリーアドレスの導入など、それぞれの環境に適した文書の電子化を行う移転対応ソリューションを提供しております。ペーパーレス化を検討の際にはぜひ、ご相談ください。

移転対応ソリューション|まるごと電子化|NTT印刷

オフィスの在り方を考え、多様な働き方を実現しよう

テレワークやシェアスペースなどを活用したオフィス分散化の一環で、オフィス移転を考えるケースも出てくるかもしれません。ただ、オフィスの移転はそう簡単なプロセスではないため、まずはオフィスへの依存を減らす働き方改革から始めましょう。今回のコロナ禍のように、緊急時に慌てなくてもいいように、現時点から電子化を始め、すぐにテレワークを開始できる体制を整え、柔軟な働き方の実現に向けた準備を万全にしておくことがもっとも重要です。

 

参照サイト:

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