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ペーパーレス化を進めるデメリットや課題は? テレワークで求められる紙依存からの脱却

ペーパーレス化を進めるデメリットや課題は? テレワークで求められる紙依存からの脱却

新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言後、政府の外出自粛要請から出社率を減らし、テレワーク勤務体制に切り替えた企業も多いのではないでしょうか。これまでにテレワークが常態化していなかった企業では、テレワーク開始にあたり取急ぎネットワークと業務用端末との連携は確保したものの、いざテレワークで仕事を進めようとすると「あの資料が手元にない!」「データが書庫に紙で保管されていた」といった不自由さや不便さを感じた機会も多かったのではないでしょうか。

このように、テレワーク運用の大前提は、技術的な遠隔での作業環境の構築だけではありません。遠隔にいてもオフィスに出社している場合と同様に仕事ができる環境を整えることが前提です。つまり、テレワークの推進はオフィスのペーパーレス化とのセットであるべきといえます。

しかしペーパーレス化の推進に当たっては、そのデメリットも認識しておく必要があります。今回は、ペーパーレス化のメリット・デメリットについて考察してみます。

ペーパーレス化のメリット・デメリット

ペーパーレス化の定義を「書庫や倉庫に保管していた紙文書や資料を電子化して紙文書を削減すること」と捉えている方は多いかもしれません。しかしこうした一面はペーパーレス化のひとつの側面にすぎません。真のペーパーレス化の達成には、作成・管理から運用までを一貫して電子化し、紙への依存を減らす必要があります。

ペーパーレス化のメリットとしては、以下の4点があげられます。

  1. 紙文書や資料を電子化し共有サーバーで保管・管理することで、検索が容易になる
  2. 紙代、印刷代、書庫や場所の保管料といったコストの削減
  3. 紛失・劣化のリスクを軽減
  4. 電子化ファイルをネットワーク連携共有することで、場所を問わない閲覧が可能になる

紙文書の電子化では、紙媒体で扱っていたコンテンツ(内容)を電子的に取り扱えるようにする文書管理システムが必要になります。

文書管理システム導入による最大のメリットとしては、書類や資料の検索が容易になることで、時間や場所に制限されずに参照や閲覧が可能になることではないでしょうか。物理的に紙で保管されている場合、膨大な資料の中から参照したい対象を見つけ出すことは非常に手間がかかります。

このようなことから、ペーパーレス化を進めるデメリットや課題は次の3つがあげられます。

  1. 文書管理システムの導入・維持コストがかかる
  2. 資料閲覧の際、閲覧する端末の画面サイズ次第では見づらい場合がある
  3. システム障害発生時のリスク

いずれの場合も完全に解消をすることは難しい課題であり、自社の運用における最適解を見出す必要があります。また、この3点以外にも意外な課題やフラストレーションが発生してしまう場合もあります。完全なペーパーレス化の達成は、一朝一夕でできるものではありません。実際の運用においてひとつずつ課題を模索し、継続的に改善していく必要があります。

既存の紙文書を電子化するには?

それでは、これまでに保管・保存されてきた過去の紙文書の保存・運用はどのようにすべきでしょうか?

既存の紙文書をすべて電子化する必要はありませんが、閲覧機会が多い紙文書や、バックアップが必要となる重要な紙文書に関しては、優先的に電子化を進めるべきでしょう。

既存の紙文書を電子化する方法は、大きく2つが挙げられます。

  1. 自分たちで電子化(スキャン)をする
  2. 専門業者に外注する

よくある課題として、保管されている紙文書は膨大な量になっていることが多くあります。日常的に適切に管理されている場合もあれば、完全に死蔵状態となっている場合もあります。特に後者の場合は、保管時の様式や書類名が時間を経て変節しているケースもあり、改めて確認する際に労力を要することもあります。

また、自社内で社員を集め自分たちで電子化(スキャン)しようとすれば、手間や時間といったコストが掛かり、業務量次第ではコア事業に影響を及ぼす場合もあります。前述のように既存の保管文書は膨大な量になることが多く、スキャン作業に追われて本来の業務を圧迫するようでは本末転倒です。

このような場合、電子化する範囲を明確にし、計画を立て実行していく。あるいは、紙文書の電子化サービスを行っている専門業者への外注といった手段もお勧めできます。

NTT印刷が提供する「まるごと電子化(プリドキュ)サービス」は、文書管理のコンサルティングから、紙文書のスキャニング、廃棄、RPAを用いたデータの利活用までを、まるごと対応することで、電子化における課題を解決するBPOサービスです。

紙文書のスキャニングでは、読み取り精度の高いAI-OCRを利用し、書類文字のテキストデータ化も可能としており、高品質な成果物を提供しています。また、セキュリティの確保された環境で作業を行うため情報管理の観点からも安心して利用いただけるサービスとなっています。

また、日常業務で使用する頻度の高い書類や、社外に持ち出すことのできない機密文書などのスキャニングに関しては、お客様のオフィスでスキャニング業務を実施する出張サービスも提供しております。

テレワークの大前提はペーパーレス化

多くの企業では、ペーパーレス化のメリットは理解されていながらも、コロナ禍以前はその取り組みはなかなか進みませんでした。これまでの出社を前提とした働き方では、紙文書や資料を探すことに大きな支障はなく、電子化によるメリットを享受しづらかったからともいえるでしょう。また以前からの商慣習として、企業内の活動履歴を「紙で提出・保管・配布する」ことが基本となっていた点もあげられます。

ここでテレワークに関する興味深い調査結果をご紹介します。

パーソル総合研究所のテレワークに関する調査(2020年4月)によると、正社員のテレワーク実施率(全国平均)は緊急事態宣言前後で、13.2%から27.9%と約2倍に上昇した結果となりました。特に東京都では上昇が強く、実施率49.1%と半数に迫るほどの結果となっていました。

アドビ株式会社によるテレワークの課題に関する調査(2020年2月)によると、テレワークの業務上の課題の第1位が「会社にある紙の書類を確認できない」(39.6%)でした。また、2位には「プリンタやスキャナーがない」(36.2%)という回答もあり、紙文書に依存している様子が伺えます。

多くのメディアでも取り上げられたように、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言後、テレワークは増加傾向を見せましたが、「ハンコ」押印のために出社が避けられないといったケースも目立ちました。

アフターコロナの働き方に適応するために

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、事業継続のための感染対策の一環としてテレワークに大きくスポットが当たるようになり、遠隔や自宅であってもオフィス勤務時と同じように、違和感なく仕事ができる環境が求められるようになりました。

こうした課題解決には、紙文書を前提とした業務体制を見直す必要があります。オフィスで仕事をする感覚と変わらずに、テレワークで仕事を完結するためには、ペーパーレス化の推進が欠かせません。

今一度、オフィスや資料のあり方を再考する変革の時期に差し掛かっているといえます。


参考:

業務効率化・働き方改革のお役立ち資料

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