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働き方改革で再注目のフリーアドレス。成功の4つの鍵とは?

働き方改革で再注目のフリーアドレス。成功の4つの鍵とは?

フリーアドレスとは、オフィスにおいて社員が決まった席を持たず、オフィス内なら場所を問わずどこでも自由に席を選択することができる業務スタイルのことをいいます。

以前から見られる働き方ですが、近年では働き方改革を推進する手法のひとつとして、注目を集めています。しかし、柔軟な働き方の第一歩となるフリーアドレスは、導入企業が増えるにつれて、デメリットや失敗事例も見えてきました。今回は、フリーアドレスのメリット、デメリットのほか、フリーアドレス導入を成功に導くためのポイントを紹介します。


<CONTENTS>

 今なぜ、フリーアドレスなのか?

  働き方の多様性への対応

 フリーアドレスのメリット・デメリット

  メリット1:従業員の満足度を向上させる

  メリット2:コミュニケーションの活性化

  メリット3:顧客満足度の向上による業績へのインパクト

 フリーアドレス導入の成功の鍵


今なぜ、フリーアドレスなのか?

フリーアドレスは、1990年代に企業のコスト削減の一環として導入されたのがはじまりといわれています。当時は、ICT技術が今ほど発達していなかったこともあり、紙資料の保管や部署内外のコミュニケーションのために固定席がある方が良いとの声が多く、結果的にフリーアドレスはあまり定着しませんでした。

働き方の多様性への対応

近年、働き方改革の推進により、リモートワーク、テレワーク、サテライトオフィス、フレックスタイム制、短時間勤務など、場所や時間に制限されない働き方が増えています。こうした背景から、オフィスに全員分の固定席を確保しておくという従来のオフィス環境の必要性がなくなりつつあります。

また、IT技術が発展した現代では、誰もがどこからでもインターネットへのアクセスができるようになり、ビジネス活動においても、チャットやWeb会議システムなどの非対面型コミュニケーションツールが充実しています。オフィスで直接顔と顔を合わせずとも、十分にコミュニケーションが取れる環境が整った今日、フリーアドレスの実現性が改めて見直されているのです。

フリーアドレスのメリット・デメリット

「フリーアドレス」という言葉から想像されるイメージはどのようなオフィスでしょうか?
GAFA(Google、 Amazon、 Meta(Facebook)、 Apple)に代表されるような大手米国IT企業のオフィスをイメージされる方も多いかもしれません。これらの先進的なIT企業のオフィスでは、事務机が島型に並べられた典型的な日本のオフィスとは異なり、まるでカフェテリアのようにカラフルなソファやテーブルが点在し、壁や間仕切りがないオープンな空間に設計されているなど、一見、オフィスとは思えない環境となっています。

こうした自由度が高いフリーアドレスのオフィスにはどのような効果があるのでしょうか。まずは、フリーアドレスオフィスのメリットを見ていきましょう。

メリット1:従業員の満足度を向上させる

フリーアドレスの最大の長所は従業員が自由に集まれる場を作るということです。集中できる個室やリラックスできる部屋、コミュニケーションスペースなど、画一的な執務スペースだけでなく利用場面に応じて対応できる多彩なスペースを用意することで、従業員自らが働く場所を選択する習慣が身につくため、一人ひとりの主体性や自律性を高めることができ、オフィスへの満足度も向上するでしょう。

メリット2:コミュニケーションの活性化 

フリーアドレスの場合、社内でのコミュニケーションが少なくなってしまうのでは?という懸念もある一方で、部門の垣根を超えたプロジェクトチームで仕事を進める場合は、むしろチーム内でのコミュニケーションが活性化されることもあるようです。 

固定席の場合、基本的には同じ部署のメンバーと席が近く、部署内のコミュニケーション密度は高まりますが、一方で普段の会話は周囲の人間に限定されてしまうため、自ずと人間関係が狭くなってしまいかねません。

プロジェクトチームのように、関係メンバーが常に自由に集まりコミュニケーションを活発に取ることができる環境では、積極的な意見交換の場を増やすことができます。また、さまざまな担当者との交流も広がり、人間関係の輪が広がります。組織に縛られない自由な意見交換は、思いもよらなかった新たな発想も生み出します。

メリット3:顧客満足度の向上による業績へのインパクト

従業員の満足度向上は業績にも影響します。

サービス・プロフィット・チェーン(SPC)というフレームワークでは、従業員満足度と企業利益の因果関係を示しています。このフレームワークでは、従業員満足度が高い場合、業務に対するモチベーションが向上し、離職率の低下や、提供するサービスの品質向上にもつながり、最終的には顧客満足度も向上するという好循環の構図がモデルとなっています。

フリーアドレス導入により魅力的になったオフィスは、その過ごしやすさから優秀な人材を惹き付ける効果も期待できます。間接的ではありますが、優秀な人材を確保することは、企業としての事業継続性や業績や生産性の向上にも貢献すると考えられます。

フリーアドレスのデメリットとは?

一方で、フリーアドレスのデメリットに関しては、次の3つがあげられます。

  1. 結局、席が固定化する
  2. 誰がどこにいるのかわからない
  3. 業務に集中できない

これらのデメリットはフリーアドレスを最大限に活用するための取り組みが不十分だったことで発生します。いずれの場合も適切な対策を講じることで改善を図ることができます。

席の固定化の改善方法

フリーアドレスで席が固定化してしまう原因としては、人間関係などのコミュニケーション面に発端がある場合や、私物や書類保管のスペースを確保することを目的とした席の専有化があげられます。席が固定化してしまってはフリーアドレスを導入する意味がありません。

これらの改善方法としては、私物占有をNGとするルール作りや、書類保管スペースとしてロッカーを用意、またフリーアドレスを導入する職種や部署の選定を見直す必要があります。座席が流動的になるように座席のくじ引きなど遊び心のあるルールを設ける企業もあるようです。

誰がどこにいるかわからない、の改善方法

座席表を見て人を探して連絡を取りに行く、という発想自体を根本的に変える必要があります。リモートワークでも同様ですが、これからの働き方改革では、働く場所に制限されること自体が推進の妨げとなります。ICT環境が発達した今日だからこそ、場所を問わず対話ができるコミュニケーションツールの導入が容易になっています。内線電話アプリやチャットツール、web会議など、これらの有効性を最大限に活用すべきでしょう。

フリーアドレスが進んだ企業では、社員のIDカードで居場所が特定できるという機能を導入した事例もあるようです。

業務に集中できない、の改善方法

周囲の人の出入りや話し声で業務に集中できない、と感じてしまう社員もいるでしょう。対策としては単純に、人の行き来に集中を乱されないスペースを用意することが効果的です。

集中が乱れるといった課題だけでなく、フリーアドレスでは業務の利用用途に合わせた空間を用意することが重要です。例えば、大人数でディスカッションを行うスペースや、少人数でミーティングをするスペース、逆に打合せが禁止されたスペースなど、必要とされる業務機能に合わせた多彩な環境作りがフリーアドレスの実施効果を高めます。

フリーアドレス導入の成功の鍵

かつて企業のコスト削減を目的としてはじまったフリーアドレスは、現代では働き方改革を推進する手段となっています。そのためには、オフィス内であっても場所を選ばず仕事ができる環境を準備する必要があります。

具体的には次の4点の取り組みをバランスよく組み合わせることが、フリーアドレス導入の成功への鍵であると考えます。

  • ペーパーレス化の推進
  • ノートパソコンやスマートフォン・タブレットといった情報端末と通信環境の整備
  • チャットやWeb会議などコミュニケーションツールの導入
  • 既存業務プロセスの見直し

ICT環境の整備は昨今では当然となってきましたが、フリーアドレスを推進する上で一番重要な要素はペーパーレス化です。書類の電子化によるペーパーレス化を推進し、場所を選ばずに閲覧共有できる環境を整えることで、フリーアドレスと共にと高い相乗効果をもたらすことができるでしょう。

こうした場所に制限されない仕組みづくりの延長線上には、オフィスという制限からも脱却したリモートワークやテレワークといった多様な働き方の実現があります。新型コロナウイルス感染拡大により、リモートワークが感染対策として取り立たされていますが、オフィスに制限されないフリーアドレスとはまさにリモートワークに他なりません。

また、フリーアドレスやリモートワークのように、仕事環境を大きく変化させるのであれば、既存の業務プロセスも見直す必要があります。既存の業務プロセスは、オフィスの自席で業務対応することを前提としています。新たな働き方の導入に合わせ、前例である規則や手順を適切に更新することで、生産性を改善する効果も期待することができます。

フリーアドレスからリモートワークやテレワークへ

フリーアドレスのメリットは場所を選ばずに働ける自由度の高さと、従業員満足度向上による業績向上です。

その実現に向けて重要なことは、リモートワークやテレワーク推進と同様に場所を選ばない働き方改革であるという認識です。これらの新たな働き方改革ではICT環境の整備にばかり注目しがちですが、場所を選ばずに業務を行うためには、ペーパーレス化の推進が大前提となります。

フリーアドレスが目指す究極の目的は、どこでも不自由なく仕事ができる、生産性の高い働き方です。

参考:

 

業務効率化・働き方改革のお役立ち資料

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