書類の保管期間 効果的に管理する手法とは?

新型コロナウイルス感染拡大を受け、就労環境をリモートワークといった在宅勤務体制へ切り替える企業が増えてきています。
しかし、在宅勤務中に社内書類の確認に迫られたとき、書類が電子化され閲覧できる環境になっていなければ、結局は出社せざるを得ず、効果的な施策としては機能しないでしょう。またそもそも書類保管は人手に依存していることも多く、管理維持に大きな労力を要している場合もあります。
健全なリモートワーク体制を整えるためには、社内の書類保管の管理、電子化の導入に関して改めて考える必要があります。
効果的に管理する手法
書類の効果的な管理を目指すためには、書類の電子化 および システム・ツールの導入 を検討することがスタートとなるでしょう。
それ以前の段階としては、社内の規程による体系的な書類の管理ができていない場合には、文書管理規程の策定が課題になります。多くの書類には法律によって保管期間が定められているため、法令どおりの期間保管することが原則です。しかし、社内にある書類の種類はさまざまであり、どのように書類を分類し管理するのかは悩みの種になります。
書類保管は、「文書管理規程の策定 → 書類の電子化 → システムによる管理・自動化」が最も効率的な筋道と考えられます。
これらの一連の課題をどのように解決すればよいか、ご紹介します。
書類の法定保管期間にはどのように対応したらよいのか
書類の法定保管期間に対応するには、規程の制定または改定を、次のように正しい手順に沿って進める必要があります。
規程の制定・改定手順
1.社内書類の洗い出し
2.適用法令の確認
3.保管期間・主管部署の確認と一覧表の作成
4.規程のドラフト・承認・制定
上記を進めるうえで、文書管理の専門家である 文書情報管理士 のコンサルティングを一部だけでも受けると非常に効率が良くなります。
どの程度コンサルティングを依頼するかは予算次第ですが、専門家は先例や他社の成功事例を知っていたり、導入に効果的なひな型を持っていることが多いうえ、効率化のツボや間違いやすいポイントといったノウハウも押さえています。これらの専門家ならではの知見を活用できるだけでも、チェックや修正の工程といった労力や時間を減らすことができるので、コンサルティングを受けずに実施するより、時間短縮や効率的な導入の効果が期待できるようになります。
書類の電子化の実務と規程をつなぐコンサルティング
文書情報管理士 は、規程制定・施行後のシステム導入・電子化の進め方の実務・その後の規程運用についての知見を持っており、これらが十分に機能させるよう懸念や労力を最小限にすることができます。
専門性の高い文書情報管理士による規程の策定支援サービス等を受けることができれば、書類の保管期間について、より効率的に適切な対応ができるようになります。
文書情報管理士は、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)による民間資格で、各省庁での電子化業務の入札に、この資格の保有者の関与が必須とされているなど、その専門性が高く評価されています。
管理手法の鍵となる書類の電子化とシステム導入
書類の電子化にAI-OCRを利用することで、文字データを含んだ電子データの管理ができ、文書管理システムの導入によって保管期間の管理を行うことができます。
保管期間の管理はファイルサーバでは不十分
従来の電子化は、ファイルサーバを用いて書類を管理することが主流でした。しかし、保管期間の管理にファイルサーバを用いることは、次のような理由から不十分と考えられます。
ファイルサーバは分類・仕分けをしてくれない
- ファイルサーバでは、人が分類・仕分けをしますが、その分、工数・時間がかかります。
- AI-OCRによる電子化と、管理ツールを複合的に活用することで分類・仕分けの自動化も目指せるようになります。
- 加えてRPAを使用する場合は、文書データの活用までのシームレスな自動化が可能もなります。AI-OCRで文書がテキストデータ化されているため、RPAによる自動分類も活用できるようになります。
ファイルサーバでは、書類の保管期間を自動で管理できない
- 人の手で管理することになるため、ヒューマンエラーも出やすくなります。
- 文書管理システムは、人による判断を介さないため、書類の保管期間を確認する際のミスを避けるサポートができます。
- ミスの訂正に費やす時間が短縮できるようになります。
ファイルサーバは、アラートの発出や、自動で削除をしてくれない
- 保管期間を知らせるアラートの発出・保管期間が終了したあとに自動で削除を行えることは、文書管理システムが強みとしているところです。
ファイルサーバでは、マイナンバーには対応ができない
- 通常、ファイルサーバでは、マイナンバーの安全管理措置としてガイドライン上要求される分離保管の要件は満たすことができません。
上述のように、これらファイルサーバの持つ課題に対応できるのが文書管理システムです。
メリットの大きい電子化・システム導入を効率よく行うには?
電子化のメリットは、保管期間の自動管理・業務効率化が図れ、コストと稼働時間が削減できることです。
しかし、書類の電子化および文書管理システム導入には多少の課題が伴い、実現が難しくなることがあります。
電子化の課題とは
ひとたび導入すれば大幅な業務効率化・コストカットの効果が数字に明確に表れる電子化ですが、電子化を進める過程では保管期間についての規程策定から、スキャン・AI-OCR・文書管理システムの導入まで、膨大な時間と手間がかかります。
また、通常業務との関係でなかなか作業が進行せず、工程が分割されてしまい、累積のコストが大きくなりがち、といった問題が生じる企業も散見されます。
加えて、時間外労働の上限規制が2019年4月から大企業に施行され、2020年4月からは中小企業に施行されました。こうした変化に確実に対応するためには、通常業務と電子化業務双方の時間管理を適切に行うことが企業にとっての課題となっています。
したがって、これらの課題を克服して、電子化を進めるための方策が重要となります。
BPOサービスの検討
そこで、大幅な時間と労力の軽減の試みとして、コンサルティング~スキャン作業のアウトソーシング~システム導入までを取り扱う、ワンストップのBPOサービスでの対応を検討してみましょう。
それぞれを分割して外注する際に発生する手間や、社内で行った場合の人件費と比較して安価になる場合や、導入の短期化といったメリットだけではなく、保管期間や時間外労働の上限規制に関する法令違反のリスクを避けられること等も期待できます。
まるごと電子化(プリドキュ)
NTT印刷株式会社が提供する「まるごと電子化(プリドキュ)」であれば、コンサルティング+電子化+業務効率化ソリューションをBPOでワンストップに実現できます。
工程ごとのベンダー起用では、各ベンダーに対して業務説明や指示を行う必要があり、窓口が一元化できず非効率となりますが、全行程を一貫して任せられるので、全体のコストが予測しにくい、社内手続きが煩雑になるといったデメリットを避けることが可能です。
文書管理の運用にはシステムやコンサルティングも検討しよう
書類の法定保管期間の遵守に関する課題の解決を、規程の策定から始める場合には特に長い道のりとなりやすく、社内のマンパワーで実現することは容易ではありません。
さらに、業務の自動化を視野に入れずに書類の電子化を進めることで、管理維持コストの増大や、不正確なオペレーションによる法令違反などデメリットが生じやすくなってしまいます。
効率的な導入を促すために、コンサルティングから書類の電子化、業務の自動化までをまとめてアウトソーシングできるサービスの利用を検討してみてはいかがでしょうか。
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