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業務の洗い出しと可視化で実現する生産性向上と事業継続性

業務の洗い出しと可視化で実現する生産性向上と事業継続性

これまでに「業務の棚卸(洗い出し)」あるいは「業務の可視化(見える化)」を実施したことはありますか?

生産工程であれば、生産ラインにおける作業内容や業務フローが可視化されているでしょう。その一方で、事務仕事における業務の可視化は実施されることは少ないかと思います。

新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言発令以後、対面業務を減らすために、押印の廃止や業務のデジタル化へと方針が切り替わった企業も現れ始めています。こうしたデジタル化の必要性を感じていても、オフィス前提の労働環境にあっては、どの程度コスト削減に貢献できるのかを具体的に示すことは難しく、改善に着手する優先順位は高くなかったかもしれません。

しかし、社会全体でデジタル化へと変化を進める今だからこそ、従来業務の改善を図り、事業の継続性やステークホルダーとの関係性を改めて考える必要があります。

業務は「棚卸」による整理や、「可視化」を行わなければ、問題点や改善テーマを抽出することは難しいといえるでしょう。

今回は、「業務の棚卸」や「業務の可視化」を行う方法についてご紹介します。

業務の改善が必要な理由

業務改善とは、そもそもどのようなものなのでしょうか?

生産性の向上と人手不足への対処

生産性について国と国とを比較する際に目安になるのが、GDP(国内総生産)を国民1人当たりで見た「国民1人当たりのGDP」です。

IMF統計に基づく「国民1人当たり名目GDP」国別ランキングでは、2000年には世界2位という結果でしたが、その後は徐々に順位を下げ、2018年には26位となっています。国内市場のみを対象にしている企業であっても、将来的には生産性の高い海外企業によって市場が脅かされないと限りません。業種にかかわらず、企業の生産性向上は重要な課題と言えます。

そして、企業の直面しているもうひとつの問題が、人手不足です。生産やサービスなど現業部門を中心に、人手不足が叫ばれるようになって久しいですが、これは一過性のものではありません。少子高齢化で生産年齢人口が減少していることから、多くの業種や業務において人手不足がますます強まっていくと予測されています。

これらの要因から、日本の企業は規模の大小、業種の違いにかかわらず、生産性向上に力を入れ、少ない人手でもビジネスが維持・拡大できるような体制を構築する必要があります。

ECRS(改善の4原則)

生産性の向上には社員の教育からAIによる自動化まで、さまざまな施策があります。ここでは、生産性向上の施策を考えるうえで基本となる「ECRS(改善の4原則)」をご紹介します。

Eliminate(排除)

  • 無駄な作業や業務を排除するということ。無駄な会議や報告書、過剰な検査工程など、不要と思われる作業を無くすことはコストが発生しない方法で、すぐに実行できるため、その効果もすぐに得られる。

Combine(結合と分離)

  • 関連性・類似性の高い業務をひとつにすることで、効率を上げる。場所やツールの共有化が進むだけでもコスト削減につながる。

Rearrange(入れ替えと代替)

  • 作業工程を見直し、前後の流れや処理工程を入れ替える等を行うことで、業務全体の効率化や無駄な作業の削減を行う。

Simplify(簡素化)

  • 業務の実態を把握し、分析することによって理想的でシンプルな作業工程にする。

例えば、顧客からの問い合わせや申し込みを受けるコールセンターの場合ならば、無駄な業務を排除(Eliminate)した後のステップとして、カタログ・案内資料の発送や契約更新なども一緒に同じ場所・プロセスで担当するように変更すると、「Combine(結合と分離)」や「Rearrange(入れ替えと代替)」の効果が得られることになります。

「業務の棚卸/可視化」の方法

それでは、どこから業務を見直すべきなのでしょうか? そのためには一度、業務のすべてを「見える化(可視化)」することで改善点を洗い出し、改善する優先順位を付けることが重要です。

業務の棚卸/可視化とは

業務の棚卸」は、現在ある業務の全てを正確かつ詳細に洗い出すことを指します。

それが結果として業務そのものを「可視化」することになります。

課題や問題点を把握し、その次のステップである業務改善を実施するためには、業務の全容を把握する必要があります。たまたま気付いた部分だけを改善しても、業務改善効果は薄いでしょう。業務の全体像を俯瞰しつつ、一つひとつの工程を精査することが求められます。

業務をしっかり棚卸して可視化することで、改善ポイントや改善の優先順位、業務改善手法の検討や効果測定方法等、業務改善に向けて必要となる手法やツールの選定が行えるようになります。

実施手順

業務の棚卸による可視化の方法としては、業務や作業の全てを一覧表にする方法が一般的に行われています。

部署名、業務場所、業務名、作業名、作業工程、必要ツール、発生頻度・作業時間、従事スタッフの数やそのスキル等、可能な限り詳細に記載していきます。また、複数の業務が関係し合っている場合は、その関係性や流れなどをフローチャートのような図に表します。そのうえで、ECRSの原則に従い業務改善を進めます。

その過程でBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)として外部委託した方が効率性の高い業務や、ITツール等の導入によって解決できる課題なども浮かび上がってきます。

その他に、業務の棚卸/可視化する方法のひとつに、ツールを活用して業務の改善点を洗い出す方法があります。パソコンに専用のソフトウエアをインストールして操作ログのデータを蓄積し、AI技術を活用して業務分析を行うツールも登場しました。従来の業務の棚卸手法と併用することで、作業別の実態に近い工数等が把握できます。

生産性を継続的に向上させるPDCAは?

時代とともにビジネス環境は変わります。業務の可視化と改善は、継続的に行うことが重要です。

つまり、一時的・部分的な業務改善では、次の時代に乗り遅れてしまうということです。そこで注目したいのが、継続して業務改善し続けるための考え方であるBPM(ビジネスプロセス・マネジメント)です。

BPMでの運用

一般社団法人 日本ビジネスプロセス・マネジメント協会では、BPM(ビジネスプロセス・マネジメント)とは、「業務プロセスのPDCAサイクルを回して業務の成果を上げるための、新しいアプローチ」のことであり、「実態に即した仕事のやり方を自ら設計・構築し、適用しながら改善する」ことであると説明しています。

そして、次のような4つのPDCAサイクルを回すことによって、業務改善効果を向上することができるとしています。

  1. Plan:業務棚卸等でビジネスプロセスを可視化し、改善のための再設計をする。
  2. Do :改善プロセスをチームで共有し、一斉に実行する。
  3. Check:業務の進行状況を常時把握し、問題箇所等の発見に努める。
  4. Action:改善施策実施後の業務実績データを分析し、さらなる改善プランの計画と実施につなげる。

これらにBPMシステムを導入することで、業務プロセスの実行・管理がより正確に把握しやすくなります。PDCAサイクルでの継続的な改善を行う場合、IT技術を活用することで、モニタリングのような状況把握や結果の分析、改善点の把握がより確実になり、BPMを運用するスタッフの負担を軽減することができます。

コンサルティングの導入

ITシステムの活用と同様に、外部のノウハウや第三者の視点を取り入れる方法を検討してもよいでしょう。

事務業務の改善に特化したコンサルティング会社と共にBPMを実施することもひとつの方法です。次のようなケースでは、コンサルティングサービスの活用が検討できます。

  • 業務棚卸のノウハウがない場合。
  • 業務棚卸を行う人的リソースやスキルが不足している場合。
  • BPMシステムや業務分析のITツール等の導入に対し、専門的な知識や経験が不足な場合。
  • 客観的な視点での分析、改善、構築、運営・評価等に支障があると考えられる場合。

中途半端に業務改善を行うと、かえって逆効果となることもあります。全てを外部の専門サービス会社に任せなくても、評価や設計といった一部分に第三者の視点を導入し、確実な業務改善を行うだけでも、十分な効果を得られる場合があります。

可視化して初めて気付くことは多い

自社の仕事内容や部署の業務を最も理解しているのは、そこで働く人や管理職の方々です。

しかし、多くの経験がかえって業務改善の推進を鈍らせてしまうことがあるかもしれません。改めて俯瞰的な視点から「棚卸(洗い出し)」による「可視化(見える化)」をすることで、これまで気付くことができなかった改善点と改革方法が見えてきます。着手すべき目立った業務だけでなく、常態化していた業務内容も見直すことで、相乗的な生産性の向上が期待できるようになり、事業全体の継続性にも波及できるようになるでしょう。

一度、業務の棚卸を検討してみてはいかがでしょうか。

参考:

業務効率化・働き方改革のお役立ち資料

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