ブログ

AI-OCRとRPAによる手書き帳票電子データ化のすすめ

AI-OCRとRPAによる手書き帳票電子データ化のすすめ

近年、各企業では働き方改革への対応で、文書の電子データ化に対するニーズが一段と高まっています。従来のOCRでも電子データ化を進めることは可能でしたが、使用するOCRを読み取りやすいフォーマットに合わせないと文字の読み取りが難しく、また手書き文字の読み取りはさらに困難でした。

しかし、AIと組み合わせたOCR(AI-OCR)の登場によって、手書き文字に対する読み取り精度が向上しています。ここでは、AI-OCRを活用した帳票の電子データ化により実現可能となった、業務の効率化についてご説明します。


<CONTENTS>

 文書の電子データ化が進むオフィス OCRはどこまで役に立つ?

  OCRの効用

  従来型OCRの限界

 AI-OCRなら手書き文字も高い精度で読み取り可能

 AI-OCRとRPAの組み合わせで業務効率化を推進

  帳票の電子データ化~入力まで一気通貫の自動化

  AI-OCRとRPAで作業時間が3分の1になった業務例も

  ピンポイントで外部委託を図るとさらに効率化が可能に

 AI-OCRとRPAで大幅な業務効率化を!


 

文書の電子データ化が進むオフィス OCRはどこまで役に立つ?

文書の電子データ化には、読み取り技術としてOCRが有用ですが、従来型OCRの課題はどこにあったのでしょうか。

OCRの効用

OCRは、Optical Character Recognitionの略であり、手書き文字や印刷された文字をスキャナーやカメラによって読み取り、デジタル文字に変換してコンピューターが利用可能な形にする技術のことです。OCRによる文字の読み取りは、大量の文書を効率的に電子データ化する手段として役立つため、業務効率化をめざして、多くのオフィスで既に利用されています。

また、近年注目を集めているRPAを活用して業務を効率化するためには、電子データ化された文字である必要があります。OCRにより種々の文書を電子データ化しておくと、RPAを導入した際に、すぐに基幹システムなどへの自動入力に活用することができます。

従来型OCRの限界

ただし、従来型OCRには読み取り精度に限界があるため、次のような課題があります。

  • ランダムなフォーマットや枠のない自由記入欄のようなフリーピッチの手書き文字に対して、読み取り精度が落ちる
  • その結果、業務に必要な過去文書の全てを電子データ化することは難しく、読み取ったデータについて手作業での修正や、ひとつの文書をまるごと手入力するケースが多々発生する

そのため、多様なフォーマットがある帳票や手書きのアンケートなどの読み取りに活用することが困難でした。

そこで、従来型OCRを改良する技術としてAIの活用が行われました。

AI-OCRなら手書き文字も高い精度で読み取り可能

AI-OCRの登場によって、従来のOCRでは読み取りが難しかった帳票や手書き文字の電子データ化が可能となりました。AIを利用することにより、以下のように改善され、従来型のOCRより読み取り精度が大幅に向上しています。

  1. AIはディープラーニングで文字を学習し、読み取りの間違いを減らすことができる
  2. フォーマットや枠のない場所に書かれた文字列にも対応可能で、手書き文字にも高い読み取り精度をもつ

ただし、注意しておくべき点は、AI-OCRの読み取り精度は100%ではないことです。読み取り精度をさらに向上させるためには、帳票の改善が必要な場合もあります。

 

AI-OCRとRPAの組み合わせで業務効率化を推進

AI-OCRとRPAを組み合わせることにより、業務効率化は一気に進むと言われています。大幅に業務を効率化できる理由と効果を詳しくご紹介します。

 帳票の電子データ化~入力まで一気通貫の自動化

AI-OCRの登場により、手書きやフリーピッチの文書も自動で読み取ることができるため、帳票の電子データ化が容易になりました。帳票が電子データ化されると、RPAの活用が可能になります。

AI-OCRとRPAを組み合わせることにより、帳票の電子データ化~基幹システム等への入力までが一気通貫で自動化できることになります。AI-OCRは従来のOCRと比較して価格が割高になりますが、大幅な業務効率化が見込めるため、削減できる工数に相当する人件費よりも、導入費用が低額で済む可能性が高く、結果としてコストカット効果が期待できると考えられます。

 AI-OCRとRPAで作業時間が3分の1になった業務例も

官公庁・民間企業を問わず、各方面から公表されているAI-OCRの導入事例では「当該業務に充てる時間の75%カット」「数百時間の業務時間カット」といった大幅な作業時間の短縮に成功したケースが散見されます。株式会社MM総研の「国内法人のAI-OCR導入実態調査(2019年6月実施)」では、AI-OCR導入について8割以上が改善効果に満足しているという結果が得られています。

さらに、AI-OCRとRPAの組み合わせには、正確性の向上・データ入力の質の向上が見込めます。AI-OCRとRPAによる文書の読み取り・システムへのデータ入力に人の手が入らないとすると、入力ミスなどの人為的なミスが入り込むリスクも低下すると考えられるからです。

ある大手銀行の投資信託口座開設業務についてAI-OCRとRPAの組み合わせによる自動化システムの運用を行ったところ、行員が手入力していた従来と比べ、業務時間を3分の1に短縮できたことが2018年の秋に報じられました。今後、AI-OCRが普及するにつれ、RPAとの組み合わせによる文書データの利活用が進み、入力業務を中心とした業務効率化・さらには生産性向上が日本全体で進むことが見込まれます。

 ピンポイントで外部委託を図るとさらに効率化が可能に

ただし、AI-OCRを利用した自動化を進めても、全ての業務を自動化できるわけではありません。AI-OCRの読み取り精度は高いものの、精度を100%にすることは難しく、読み取りエラーが起こったまま自動入力されてしまった場合は、人の手で入力情報を修正する必要があります。

また、帳票のフォーマットによって、エラーの発生率が左右されてしまうことがあります。読み取りエラーが出ないように工夫しておくことが望ましいですが、どのような帳票でエラーが出やすいかといった調査は人が行わなければなりません。帳票フォーマットの検討、あるいはエラーデータが生じた原因の調査、エラーが出た場合の再入力などの作業は、社内のみで都度対応することも可能です。

ただし、データ量によっては、社外の専門業者に作業をまとめて任せた方が現実的な場合もあります。自動化により削減できるコストを考え、信用性の高い委託業者を検討するとよいでしょう。

 AI-OCRとRPAで大幅な業務効率化を!

AI-OCRは、手書き文字を読み取り可能にした、精度の高いOCRです。AI-OCRを利用することにより、帳票の電子データ化を自動で行うことができます。

RPAを合わせて利用すると、AI-OCRで帳票から電子データを抽出し、基幹システムなどのシステムにデータを自動で入力することが可能になります。双方を組み合わせることで、大幅な業務効率化を見込むことができます。

AI-OCRとRPAを組み合わせることにより、業務効率化が進み、残業時間が低減できる、より重要な業務に対してマンパワーの注力が可能になるなどのベネフィットを得ることができます。業務効率化に関わる一連の課題に対応するためにも、手書き帳票の電子化を検討してみてはいかがでしょうか。

 

参考:

業務効率化・働き方改革のお役立ち資料

関連記事