RPA導入が成功するコツとは?

近年、業務効率化ツールとしてRPAを導入する企業が増えています。この記事をご覧の方の中にもRPAの導入を検討されている方が多いのではないでしょうか。
今回はRPA導入をご検討中の方のために、RPA導入までのステップや注意点、導入成功の秘訣を詳しく解説します。
RPA導入までのステップ
RPAは思いつきでいきなり導入しても、上手に活用することはできません。RPAを導入する前にしっかりと下準備をする必要があります。
業務プロセスの見直し
まず、現在行われているどの業務にRPAを導入すべきかを見極めるために、業務プロセスの見直しを行います。業務プロセスの見直しを行った後に、プロセスを改善したい業務や、RPAを導入できそうな業務を選定します。RPA導入候補の業務については、工数やプロセスを詳細に可視化して、費用対効果もあらかじめ見積もっておきましょう。
RPAツールの選定
RPAを導入する業務に適したRPAツールを選定します。以下のような観点で導入するRPAツールを選定しましょう。
- RPAを導入したい業務の内容
自由度が高いRPAツールでなければ自動化が難しい業務なのか、一定の制約があるパッケージ化されたRPAツールでも自動化できるのかをポイントにRPAツールを検討します。
- 利用予定のユーザー数
導入部署におけるRPAツール利用者の見込み数を把握して、導入コストを見積もります。
- 導入予算
導入予算を費用対効果から考える場合、自動化によって得られる効果を金額で見積もっておく必要があります。
RPAツールのトライアル導入
導入候補のRPAツールが決まったら、本格導入する前にトライアル導入を行い、自社業務とRPAツールとの相性をチェックします。RPAの導入でよくあるトラブルが、思った通りにRPAツールが動かないというものです。トータルで見るとバランス良く業務にRPAを導入できているように見えても、ある業務プロセスの途中で自動化できずに止まってしまうことがあります。本格導入する前にトライアル導入をして、自社の業務を予定どおりに自動化できるかをしっかり確認しましょう。
トライアルの結果検証
トライアル導入の結果を検証して、本格導入に向けた課題点を洗い出します。結果によって、トライアルの続行、他ツールのトライアル実施、本格導入に向けて検討する、といった今後の方針を決めます。
本格導入
トライアル導入したRPAツールの中から本格導入するRPAツールを決定します。トライアル結果の良し悪しだけでなく、導入コストや運用コストも考慮しましょう。本格導入前には、RPAを利用するメンバーへのレクチャーが必要になります。
また、導入後はRPAで行われる業務の状態を把握して、実際にどれぐらいの業務が効率化できているかを評価・分析します。
RPA導入前のチェックポイント
RPA導入を検討する前に確認すべきポイントをご紹介します。
RPAで効率化できる業務なのか
RPAはどのような業務でも効率化できるというわけではありません。RPAを使った効率化に適している業務は、決まったルールで行われる定型業務や繰り返し業務です。逆に、人の判断が必要な業務や複雑な業務をRPAで自動化することは難しいでしょう。
そのため、RPAを導入しようとしている業務がRPAでの自動化に向いている業務かという確認が必要です。単に作業量が多いというだけではなく、高い正確性が求められる定型業務や短時間で完了させたい繰り返し業務であれば、RPA導入によって、より効果的な結果が得られるでしょう。
導入後の運用体制を作れるか
RPAは導入後にRPAを運用・管理する人員が必要となるため、定常的に運用・管理できる人材を確保できるかについても検討する必要があります。このとき、導入コストと運用・管理コストがRPA導入によって生まれる利益を上回らないように注意します。
RPAツールの特徴は自社の環境に合っているか
RPAツールにはいくつかのタイプがあります。自社の環境に合わせて適切なタイプを選びましょう。
「どのような業務を効率化するか」
効率化する業務により汎用型と特化型の2つのタイプに分かれます。
- 汎用型
特定の用途や職種に関わらず、さまざまな業務を自動化できるRPAツールです。自由度が高い一方で、設定に手間がかかり、仕様変更やメンテナンスなども必要になるというデメリットもあります。
- 特化型
人事や経理などそれぞれの業務に特化したRPAツールです。それぞれの業務に必要な一連の作業がパッケージ化されており、細かい設定をする必要がありません。特化型のRPAツールで対応できる業務範囲は狭いため、社内の業務全体を特化型のRPAツールで自動化しようとした場合、複数のツール導入が必要となり、かえってコストがかさむこともあります。
「どのようなユーザーが使用するか」
どのようなユーザーが使用するかにより、サーバー型とデスクトップ型の2つのタイプに分かれます。
- サーバー型
サーバーにRPAツールをインストールして、集中管理するタイプです。複数のPCでのツール利用が可能であり、大量のデータを扱うこともできます。ただし、導入コストが高いというデメリットもあります。
- デスクトップ型
PC1台ずつにRPAツールをインストールするタイプです。安価に導入できる一方で、RPAツールを利用できる環境は限定され、大量のデータを扱うことが難しいというデメリットがあります。
RPA導入成功の秘訣
RPA導入を成功させるために意識して取り組むべきポイントをご紹介します。
業務の可視化はしっかりと
RPAは用途に応じてさまざまな種類があるため、適切な製品を選ぶためにも「どのような業務を」「どのような目的で」「どのようなRPAツールを使って」効率化するかを導入前に明確にしておく必要があります。導入の目的や要件にずれがあると、RPAの導入効果が得られにくくなります。
小さなトライ&エラーを繰り返す
よく検討したにもかかわらず、期待通りの効果が得られない場合があるので、いきなり大規模な業務に対してRPAを導入することは、リスクが大きいと言えるでしょう。まずは小規模な業務からRPAを導入し、トライ&エラーを繰り返しながら徐々に導入範囲を広げていくと、RPA導入が成功しやすくなります。
RPAを社内に普及させる仕組みを作る
RPAを社内でしっかり活用するためには、社内に普及させる仕組み作りが必要です。
RPAの管理・運用ができる人材の育成
RPAは導入後も定期的にメンテナンスが必要となります。RPAは決められたルールの作業を忠実に再現できる半面、少しでもトラブルが発生すると作業が中断してしまいます。また、作業フローに変更があった場合は人手でRPAのシナリオを修正しなければなりません。こういった理由で、RPAを導入する際にはRPAの理解が深く、運用・管理を任せられる人材の育成が必須となります。
RPAの管理・運用を外部の業者に委託することも可能ですが、長期的に利用するのであれば管理・運用の内製化は重要です。社内でRPAを運用する中でノウハウを蓄積し、RPAに長けた人材を育成していくことがRPA導入成功のカギとなります。
業務マニュアルを整備する
RPA導入にあたって、自動化する業務の範囲を決めたり、自動化できた業務と自動化できなかった業務を組み合わせた新しい業務フローを作成する必要があります。さらに導入後も、RPAで自動化できる業務と人手で行うべき業務との線引きを常にはっきりさせておかなければなりません。このため、業務を作業ごとに切り出して、作業内容や手順を明確にし、誰が見ても分かる業務マニュアルを作る必要があります。導入後も、RPAの作業効率を見ながらマニュアルを細かくメンテナンスしていくことが大切です。
RPA導入は計画的に
RPAを効果的に活用するためには、導入する業務に適したRPAツールの選定や社内環境の整備が必要です。効率化すべき業務を見極めて計画的に導入すること、導入後の運用体制を整備することがRPA導入を成功させるコツとなります。
参考: