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業務効率化はどう進める? ツール導入のメリットと選定ポイント

業務効率化はどう進める? ツール導入のメリットと選定ポイント

現在、日本企業の多くが直面している大きな課題として「人手不足」が挙げられます。少子高齢化による労働生産人口の減少は、今後、さらに深刻化することが予想されます。人手不足以外にも、日本の企業はさまざまな課題を抱えており、人手不足とも関連性のある「生産性」もそのひとつです。人手を増やすことが難しい場合、限られたリソースで生産性を高める必要があります。

今回は、生産性を高める方法として業務効率化ツールに焦点を合わせてご紹介します。


<CONTENTS>

 課題抽出・業務の見直し

  業務フローの可視化による課題抽出

  効率化するべき業務の洗い出し

 業務効率化の代表的な手法

 ツール活用による事務効率化

  スキャナー/OCRによる文書の電子化

  ワークフローシステムによる意思決定の速度向上

  コミュニケーションツールの活用による情報共有

  RPAで事務のルーチンワークの自動化

 業務効率化ツール選定のポイント

  効率化する業務を選定し、目標設定する

  ツールの選定を行う

  テスト導入として、一部の部署や業務で試用してみる

 費用対効果の高いツールで業務効率化を


 

課題抽出・業務の見直し

業務効率化を進めるために、まずは効率化の対象業務を洗い出す作業から見てみましょう。

業務フローの可視化による課題抽出

各業務のフローについては、その業務に携わっている担当者が誰よりも理解しているものです。現場の担当者に、業務の手順をフローチャート図やマッピング図などにまとめてもらいましょう。そうすることで、業務の流れをひと目で捉えられるようになります。現場の担当者にフローチャート図やマッピング図を作成してもらうことが難しい場合は、現場の担当者に聞き取りを行い、業務フローを可視化しましょう。可視化することで改善すべき課題が浮かび上がりやすくなるので、それらをすべて抽出します。

効率化するべき業務の洗い出し

抽出した課題から、実際に効率化に着手すべき業務を選定します。効率化すべき業務のひとつに「定型業務」があります。定型業務には、無駄な作業や自動化の対象となる作業が含まれている可能性が高いためです。都度同じ作業を繰り返し行っている業務や、同じ手順でリストからデータをパソコンに打ち込むような作業などは、定型業務である可能性が高いため、効率化の対象となります。

業務効率化の代表的な手法

続いて、対象となる業務ごとに効率化の手法を検討します。次のような手法が代表的であり、ひとつの業務に対して、複数の手法を併用することもあります。

  • 不要な業務の廃止
    データがあまり使われてない帳簿の記録や管理、報告だけの会議、二次的な利用の少ない報告書作成等の不要な業務を廃止します。
  • 他業務との統合や組み換え
    営業報告会と営業企画会議の2つの会議を統合する、各部署で個別に依頼していた仕事や部品購入をまとめて発注する等、他業務との統合や組み換えが可能な業務を集約しましょう。
  • アウトソーシング
    ノンコア業務で定期的に一定数発生しており、外部の専門サービスに任せた方が品質の向上を期待できる業務は、費用対効果の観点からアウトソースを検討します。例えばデータの入力業務やダイレクトメールの発送業務、問い合わせダイヤルへの応答などが該当します。
  • ツールの活用
    申請決裁のワークフローシステムの利用、Web会議システム等による会議場所や時間の自由度の拡大、スキャナーやOCRの導入による文書の電子化等、ITツールや画像処理ツールを活用して業務を効率化します。

ツール活用による事務効率化

上記で挙げた手法の中でも、特にITツールを活用した事務の業務効率化には様々なツールや機能の選択肢があります。以下でその一例をご紹介します。

スキャナー/OCRによる文書の電子化

事務処理で大量に使用される「紙文書」を削減することで、業務効率化につながります。紙文書をスキャナーで読み取って電子化するだけでも一定の効果はありますが、OCRを使ってテキストデータ化することで、文書の検索性向上や共有の容易性、紙からの手入力の作業軽減など、さらなる業務効率化につなげることができます。

ただし、OCRで全ての文書を電子化すべき、ということではありません。全ての文書を電子化するには時間とコストがかかるため、必要性の高い文書から電子化することがポイントです。また、電子保存が認められていない文書もあるため、次の3つの区分をポイントに電子化を行いましょう。

  1. 電子化して保存することが法律上で認められている文書
    法律によって保管が義務付けられている法定保存文書を電子化保存する場合、e-文書法に基づいた電子化が必要となります。法定保存文書に該当する文書としては、国税関係書類や人事関係の書類、建築図書等が挙げられます。e-文書法に定められた基本要件として、以下の要件が挙げられます。
    • 見読性:ディスプレイ等から明瞭な状態で確認できること
    • 完全性:改ざんや一部消去等が無いことが証明可能であること
    • 検索性:必要なときに該当文書を探し出せること 等
    特に、国税関係書類に関しては電子帳簿保存法に定められた一定の要件を満たし、税務署に申請をして事前承認される必要があります。 電子帳簿保存法に定められた基本要件は、以下の要件が挙げられます。
    • 真実性:「①データの訂正・削除の履歴が確認できること」「②帳簿間で相互の関係性を確認できること」「③規定に基づき、適切なデータ入力・保存がされていること」
    • 可視性:「①ディスプレイ等から明瞭な状態で確認できること」「②記録を速やかに検索できること」
  2. 参照や情報共有のため電子化しておくべき文書
    仕様書や提案書、過去の技術文書等、担当内で共有すべき文書や参照頻度が高い文書は電子化する必要性が高いと言えます。
  3. 法律上、紙で保管することを義務付けられている文書
    手書きで記録した帳簿等で、決算等で使用されたものや、免許証や許可証など現物性が極めて高いものは紙媒体で保管した方がよいでしょう。

電子化された文書で原本を保存する必要性が低いものは廃棄しましょう。

ワークフローシステムによる意思決定の速度向上

申請や決裁を電子上で行うのがワークフローシステムです。決裁者が出張している場合でも、モバイル機器を使うことで決裁や承認が可能です。離れた部署や事業所間でも短時間で決裁の申請や回覧が可能となり、またその進捗も常時確認できるため、社内の意思決定スピードが大幅に向上します。

コミュニケーションツールの活用による情報共有

チャットツールやWeb会議システムを活用すると、スケジュールを繰り合わせて一同が会議室やミーティングルームに集まる必要がなくなります。離れた拠点間においてもミーティング頻度を高められるため、適切な情報共有が可能となり、スムーズな業務進行につながります。また、会議場所までの移動時間とそのコストの削減にもつながります。

近年注目されているテレワークのような仕事場所を選ばない働き方は、これらのコミュニケーションツールを活用することで実現可能となります。

RPAで事務のルーチンワークの自動化

紙の帳票や伝票からのデータ転記作業が大量にある場合や定型書式メールの一斉送信など定型業務が頻繁にある場合は、OCRとRPAという事務作業を自動化するツールを活用した一貫処理が検討できます。

例えば、OCRが紙帳票をテキストデータ化し、そのテキストデータをRPAで一定のフォーマットに入力していくシステムを組むことで、稼働人員の削減や処理時間の短縮、人による誤入力の排除などが実現できます。事務作業において、紙の伝票類を手入力で会計システムに登録することが多いと思われます。その作業をOCRとRPAを組み合わせることで、プロセスの一部や大部分をソフトウェアの力で自動化できるため、人員の省力化や処理速度の向上が望めます。

業務効率化ツール選定のポイント

それでは、業務効率化ツールの導入手順や選定方法について見てみましょう。

効率化する業務を選定し、目標設定する

明確な目標を立てずにツールを導入すると、かえって業務が煩雑になってしまうことがあります。現状の業務内容や環境に合わせて、効果が期待できるツールを導入することが重要です。効率化すべき対象業務が多い場合は、導入効果が高そうな業務からツール導入を検討しましょう。

また、目標設定は業務により異なりますが、その効果を処理時間や投入されるスタッフ数の削減度で把握できる場合は、それらの数値に目標値を設定し、効率化を進めます。数値等で測定できないものでも、従事するスタッフの疲労度や精神的な負担の低下度などをヒアリングで聞き取る方法もあります。

ツールの選定を行う

効率化する業務の選定、業務効率化の目標設定に続くのがツールの選定です。ツール選定のポイントは次の2つです。

  1. 手軽に誰もが使いこなせる
    ツール導入の失敗事例として、そのツールを使いこなせる人が限定されてしまい、かえって業務効率化が進まないことが挙げられます。ツールの機能だけを追求するのではなく、ユーザーインターフェース等の使いやすさを検討することも大切です。
  2. 既存の社内システムとの連携または代替ができる
    社内で使用しているシステムとの連携が可能かどうか、または既存のシステムをそのまま代替できるかどうかについても検討しておくことが重要です。そのツールのみが独立した仕様となっていることで、ほかのシステムとの連携性に問題があると、業務効率化が期待できなくなるだけではなく、導入したツール自体が使用されなくなってしまうことがあります。

テスト導入として、一部の部署や業務で試用してみる

ツールの導入は、全社規模での導入を計画したとしても、本格導入の前に一部の部署や業務を限定して試験的に使用してみて、段階的に導入することが重要です。そこで得られた注意点・課題等を考慮し、最終的なツールの導入可否を判定しましょう。ツールの導入効果を確認できてから、他の部署や業務に水平展開することで、ツール導入後のトラブル発生リスクを軽減することができます。

費用対効果の高いツールで業務効率化を

業務効率化を実現する選択肢のひとつとしてツールの導入があります。ツール導入の目的を明確にし、ツールの適用範囲を絞り、高い導入効果が得られそうな業務からツールを導入することが、費用対効果を高めるポイントになります。現在では種々の事務処理に特化したツールの開発も進んでいるため、自社の状況に合ったツールを探してみましょう。

 

参考:

業務効率化・働き方改革のお役立ち資料

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