業務フロー改善を成功に導く3つのポイント

今の業務フローに課題や行き詰まりを感じていても、改善方法がわからないという場合が少なくありません。場当たり的な業務改善を繰り返すことで、業務フローがさらに悪化してしまうケースもあります。そこで今回は、業務フロー改善に必要な3つの要素と、それぞれのポイントを解説します。
<CONTENTS>
業務改善の手順
その場の思いつきによる改善策を実行しても、本質的な業務改善は望めないでしょう。業務改善を成功させるためには、次のように正しい手順で進める必要があります。
1 現状把握
2 問題点の洗い出し
3 改善計画の立案
4 改善策の実行
5 結果の分析
やることが多くて面倒に感じるかもしれませんが、一つひとつ順を追って丁寧に進めていくことが、業務改善を成功させるためには重要です。以下、手順について詳しく説明していきます。
1 現状を把握する
まず、改善対象の業務が現状どのように行われているかを可視化します。誰が見ても業務の流れを理解できるように、細かい手順まで明確にします。
1. 業務プロセス図を作成する
業務を可視化するために業務プロセスのつながりや関係性を業務プロセス図で可視化します。効率的に可視化する方法の1つとしてフレームワークを利用してみるのもよいでしょう。
有名なフレームワークとしては、BPMN(ビジネスプロセスモデリング図)というフレームワークがあります。BPMNは国際標準のため、共通のルールのもとに複数部門の関係者で業務内容を理解することができます。海外拠点とのつながりがある場合でも、連携させた業務プロセス図を作成することができます。さらに、BPMNをBPEL(ビジネスプロセス言語)というプログラミング言語に変換すると、そのままシステムの業務フローに落とし込むことも可能です。
2. 現場ヒアリングをする
業務を可視化できたら現場でのヒアリングを行い、現場に赴かねば拾えない細かな情報を収集します。「どの業務が問題になっているのか?」「効率の悪い作業はないか?」を聞き出す必要がありますが、現場のメンバーはマイナスの評価になることを避けるために、なかなか実情を話してくれないことも少なくありません。問題点をしっかりと洗い出すためにも、現場のキーマンとなるメンバーをあらかじめ業務改善プロジェクトに巻き込んでおくことがポイントです。
2 問題点を洗い出す
現状の把握ができたら、問題点を洗い出していきます。ここでのポイントは「問題点を原因まで突き詰めて考える」ことと「関連する業務についても確認する」ことです。
気をつけなければならないのは、何が原因で工数がかかっているかを解明せず、中途半端な形で問題点の洗い出しを終えてしまうことです。「〇〇という業務に工数がかかる」で終わりにせず、根本の原因を突き止めて業務改善につなげるため、洗い出しは徹底して行いましょう。
問題の原因追及によく使われる手法として「なぜなぜ」という手法があります。一つの問題に対して「なぜ?」を繰り返して原因を突き止めていくという方法で、5回ほど「なぜ?」を繰り返すと問題に対する本来の原因を突き止めることができるとされています。
また、複雑に絡み合った業務では、関連する業務に根本の原因があることもあります。改善対象の業務だけを見ていると問題の原因を見落とす可能性があるため、関連する業務についても確認する必要があります。
3 改善計画を立てる
洗い出された問題点に優先順位をつけて改善計画を作成します。短期間で高い効果が期待できるものを優先的に改善することで、フロー改善の効果を短期的に得られるため、モチベーションの向上や社内の協力を得ることにつながります。
1. 改善の方針を決める
改善の方針は業務の内容によって次の3つに分けられます。
- 排除・廃止
問題点の洗い出しで、業務の妨げになっていることが判明し、省いても問題がない業務に対して行います。一番手軽に行うことができ、高い業務改善の効果が見込めるため最も優先度が高くなります。
- 標準化
業務ルールがばらばらで明確に定義されていない業務に対してルールを作成します。最も効率がよい手順に統一することで業務改善を図ります。
- 変換・代替
排除・廃止や標準化では改善が難しい業務に対して行います。既存の業務フローを別のものに置き換えるため、業務改善が大掛かりなものになり、業務システムの導入が必要になることも多いので、優先度としては最も低くなるでしょう。
2. KGI、KPIの策定
改善の方針が決まったら、最終目標であるKGI(重要目標達成指標)と、そこに至るまでに達成しなければならない複数の中間ポイントであるKPI(重要業績評価指数)を策定します。例えば「商品の納期を20%短縮する」という目標であれば、「申込書の処理時間を10%削減する」「商品の生産工数を5%削減する」「出荷の工数を5%削減する」など、最終的なゴールに至るまでに削減しなければならないポイントを選び出してKPIに設定します。
4 改善案の実行
改善計画に沿って実際に改善をしていきます。ここでのポイントは「状況に応じて細かい評価と改善をする」ことです。
綿密に改善計画を作成しても、現場でトラブルが発生したり、予測した結果が出ないということがよくあります。特にKPI達成が思ったように進まない場合は、改善案に問題がある可能性が高いため、そのKPIが達成できなかった理由を分析し、問題点を洗い出して必要に応じて改善案を出す必要があります。
5 結果の検証
改善案を実行したら、どのような結果になったのかを分析します。KGIが達成できたときは、何が要因で成功したのかをしっかりと分析し、同じようなケースの改善に使えるようにノウハウを蓄積します。KGIが達成できていないようであれば、何が原因で達成できなかったのかを分析して、問題点を洗い出し、改善を行います。
特に改善が成功した場合は、分析をせずにやりっぱなしで終わってしまうケースが少なくないため、どんな結果であっても必ず分析をし、考察するようにしてください。
このようにPDCAを回し続けることで、継続的に業務フローを改善していきます。
業務改善を成功に導く3つのポイント
業務改善を成功させるために、特に重要なポイントを3つにしぼって解説します。
業務フローの可視化
業務改善の基本は「業務を阻害している原因を特定して改善する」ことです。原因特定のためには業務の流れや作業の手順、内容をすべて明確にする必要があります。業務プロセス図に漏れがあったり、現場からのヒアリングが十分にできなかったりすると問題点の洗い出しが上手くいかなくなるため、業務フローの可視化は丁寧に行いましょう。
業務フローの全体設計
業務フローを作成するときは、まず最終的なゴールを設定し、そこから逆算してフローを作成していくとスムーズに作成することができます。また、業務フローを設計するときは、関連する業務も含めて全体の流れを俯瞰的に見る必要があります。改善が必要な業務だけに集中してフローを作成すると、関連する業務との連携がうまくいかずに改善につながらない場合があります。
業務のIT化
変更や代替が必要と判断された業務をITで自動化するのも有効な手段です。決まったルールで同じことを繰り返す業務にRPAを導入できれば、工数を大幅に削減することができます。RPAの導入に対し、ハードルが高い場合には、まずはBPOサービスを利用して、業務改善の効果を検証する方法もあります。
業務改善は地道な作業
業務改善は、問題点を洗い出し、改善計画を立て、改善策を実行して結果を検証することの繰り返しです。特に、PDCAを回し、継続的に改善活動を行うことは、業務改善効果を得るためには重要なポイントです。ある施策が成功したとしても、改善活動を続けていかないと、本質的な業務プロセス改善にはつながらないことがあり、業務効率がふたたび低下する可能性があります。一度やったらおしまいではなく、常にPDCAサイクルを回し続けることで、効果の高い業務改善を目指しましょう。
参考:
- 「まるごとDXサポート」で始めよう DX対策|お役立ち資料|まるごと電子化
- まるごとDXサポート|サービス詳細|まるごと電子化
- RPA|サービス詳細|まるごと電子化
- AI業務分析|サービス詳細|まるごと電子化
- 業務改善を成功に導く業務分析の進め方(AI業務分析サービス)|お役立ち資料|まるごと電子化
- 業務改善の方法と進め方|ビジネスプロセス改革推進室
- 業務の「可視化」とは|ビジネスプロセス改革推進室
- 業務プロセス設計の基本と、容易化するポイント|ビジネスプロセス改革推進室
- 業務プロセスの改善を行うには?|BisAppチャンネル
- 業務改善とは?概略と取り組みに役立つ情報をまとめて解説|まるごと電子化
- 業務改善を実現させるための方法とは?|まるごと電子化
- 利益増大に必要な業務プロセスの改善、簡単で効果的な方法をご紹介|まるごと電子化
- 業務改善の進め方 外部コンサル利用のメリット・デメリット|まるごと電子化