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デジタライゼーションとは?DXとの関連性や取り組みについて解説

デジタライゼーションとは?DXとの関連性や取り組みについて解説

将来にわたり企業経営を存続させていくためにも不可欠とされるDX(Digital Transformation、デジタルトランスフォーメーション)ですが、関連情報を調べていると「デジタライゼーション」という言葉を見かけることがあります。DXとどのような関係にあるのでしょうか。また混同されやすいものに、「デジタイゼーション」があります。2つの違いは何でしょう。今回はデジタイゼーション、デジタライゼーションそれぞれの意味と、取り組みを進めるうえで参考となる情報を解説していきます。


<CONTENTS>

 「デジタライゼーション」の概要

  混同されやすい「デジタイゼーション」とは

  では、「デジタライゼーション」とは    

 「デジタライゼーション」の事例

  レンタル事業からサブスクリプション事業へ Netflix

  デジタライゼーションをイノベーションの創出の機会に みずほフィナンシャルグループ

  ECサイトと店頭データの統合によるCRM強化 資生堂

 「デジタライゼーション」推進のポイント

 デジタライゼーションへの取り組みでDX実現をめざす


 

「デジタライゼーション」の概要

デジタライゼーションはDXに関連する用語として登場しますが、混同されがちな言葉には「デジタイゼーション」があります。ここでは、これらの違いを整理していきます。

混同されやすい「デジタイゼーション」とは

デジタイゼーションは、紙媒体やアナログ情報をデジタル化すること(アナログ・物理データのデジタルデータ化)を意味します。

デジタライゼーションとの違いは、業務プロセスそのものは変化させずに作業内容を置き換える点にあります。デジタルとは情報処理の方式で、対義語は「アナログ」です。

総務省によるデジタイゼーションの定義は以下のとおりです。

“既存の紙のプロセスを自動化するなど、物質的な情報をデジタル形式に変換すること”

デジタイゼーションの具体的な例としては、以下のようなものがあります。

● 紙ベースの顧客リストをデジタルデータに置き換えてデータベース化する

● コピー・アンド・ペーストの作業をRPA(Robotic Process Automation、ロボティックプロセスオートメーション)によって自動処理する

デジタル技術の活用により作業をデジタルに置き換えることで、業務効率やコスト削減を目指すのがデジタイゼーションです。デジタライゼーションと同様に意味的には「デジタル化」ですが、ビジネスモデルの変更を伴わない点で、さらに初歩的・狭義であると言えます。

 

では、「デジタライゼーション」とは

デジタライゼーションは英語の“Digitalization”で、直訳では「デジタル化」を表します。

ただし多くの場合では、個々の業務を単純にデジタルに置き換えるだけでなく、デジタル技術を活用して組織のビジネスモデルを変革するという意味で使われています。デジタル技術により、顧客をはじめとするステークホルダーに対してサービス・利益を提供するより良い方法を構築することを目指すのが、デジタライゼーションの本質であるととらえられるでしょう。

経済産業省の定義では「個別の業務・製造プロセスのデジタル化」とされており、デジタル技術により各業務プロセスの効率化を行うのが狙いです。

全社的・全組織的な活動以前におけるDXの前段階としての位置づけとなり、デジタル技術を用いることで現在のビジネスモデルからステップアップを図り、既存の製品やサービスの価値を高めていくという役割を担います。

 

「デジタルトランスフォーメーション(DX)」とは

DXは、デジタル技術による組織的な変革を指します。経済産業省によるDXの定義は以下のとおりです。

“企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること”

DXでは業務プロセスの一部だけではなく、組織横断かつ全体の業務・製造プロセスのデジタル化を行い、最終的には“顧客起点の価値創出”のための事業やビジネスモデルの変革をめざします。

DXは、デジタルの技術を用いて仕事のやり方や消費のあり方を変える全体的な概念であり、企業や組織全体がデジタル技術を用いて変革されることです。これは一時的な生産性の向上にとどまらず、将来に向けて進化を続けるための基盤となります。

デジタライゼーションとの関係性から見ると、DXは目標、デジタライゼーションが手段です。考え方としては、DXを推進していくうえでのステップであり、デジタイゼーションはその入り口となります。

一般的な流れとしては デジタイゼーションからデジタライゼーション、そしてDXへと進んでいくと考えられます。

 

DXについては以下の記事でさらに詳しく解説しています。併せてぜひご覧ください。

 

DX(デジタルトランスフォーメーション)がデジタルワークプレイスを加速する

DXとは?思うように進まない理由と実現のために準備すべきポイントを解説

 

DXに成功した「デジタライゼーション」の事例

デジタライゼーションの事例を具体的に紹介していきます。

DVDレンタルサービスからテクノロジー大企業へ Netflix

動画配信業者として知られるNetflixですが、創立当時はわずか2名によってスタートした小さな会社でした。ビデオのレンタルといえば、レンタル店を訪れてその場で選んだ作品を借りていくというのが主流だった時代、Netflixは「オンラインビデオレンタル」をコンセプトに、オンラインでディスクを貸し出して自宅などへ配送するレンタルサービスを開始。オンラインを活用することで、新たなビジネスモデルを確立しました。その後、徐々にストリーミング配信サービスに移行。さらなるビジネスモデルの変革(デジタライゼーション)を実現しました。そしてサブスクリプションモデルの確立、収集・蓄積した顧客データの活用など、DXによって組織横断的に変革を続ける同社。現在ではコンテンツ×ディストリビューション×テクノロジーという3要素を軸として、AmazonやApple、Googleなどと肩を並べるテクノロジー大企業となっています。

デジタライゼーションをイノベーションの創出の機会に みずほフィナンシャルグループ

みずほ銀行、みずほ信託銀行、みずほ証券などからなる同グループは、外部との連携を積極的に行いながら、顧客サービスの充実、業務体制の変革に取り組んでいます。デジタライゼーションの具体的な例では、スマホ決済サービス「J–Coin Pay」、ブロックチェーン技術による「個人向けデジタル社債」、デジタル地域振興券の発行、AI(人工知能)技術によるコンサルサービス「Healstep」の提供などがあります。

アナログ時代の金融業界は、担当者による顧客への対面型営業・提案、人力による融資時の審査などが行われていました。デジタライゼーションを経て、非対面・自動化が進められ、顧客に対する迅速なサービスの提供が実施されています。

2022年3月にはグーグル・クラウド・ジャパンとDX分野での戦略提携に合意がなされ、顧客重視の提案力の向上を主眼に置く「ハイパー・パーソナライズド・マーケティング」の実現に向けてさらなるDX推進が期待されます。

ECサイトと店頭データの統合によるCRM強化 資生堂

1872年に洋風調剤薬局として銀座に誕生して以来、日本を代表する化粧品メーカーとして世界中の女性に商品を届けてきた同社。百貨店をはじめとした店頭での接客に強みがあったものの、消費者の購買行動の変化によって低迷した時期もありました。

細分化する顧客ニーズに対しては、顧客情報、購買動向、肌状態などの多岐にわたるデータを駆使した提案が必要とされる時代。しかし、社内にはレガシーシステムと呼ばれる既存のシステムが多数存在し、データが分散したままの運用が行われていました。そのため各機能、バリューチェーン間の連携が不十分で、海外競合企業と比べると遅れが目立つ状況にありました。

この状態を打破するために行われたのが店頭における顧客データと、全世界の主要なECサイトとの連携の強化といったCRM(顧客管理システム)の全体的な統合です。デジタライゼーションにより世界に存在する各拠点でのITプラットフォームの統合、データの一元管理を実施しています。

今後の戦略としては、オンラインとオフラインの融合により最高の顧客体験を提供。顧客データの横断分析・活用、トレーサビリティによる商品の生産・物流・チャネルの可視化、さらに個々の顧客にマッチしたサービスを提供するパーソナライゼーションの3つを柱にすえ、DXを起点とした新事業開発を目指します。

「デジタライゼーション」推進のポイント

デジタライゼーションを進めるうえでのポイントとしては、以下のようなものがあげられます。

  • DXを見据えた段階的な推進 

デジタイゼーションやデジタライゼーションは、DXの実現に向けた流れのステップです。DXやデジタライゼーションといった言葉についての根本的な理解がなされていないと、デジタイゼーションのみで満足してしまい、単なる業務のデジタル化で終わってしまう可能性があります。

一方で業務のデジタル化が進んでいないと、DX推進の基盤がなく、組織的な変革に向けた取り組みができません。デジタイゼーションによりアナログ情報のデジタル化を先行させたうえで、ビジネスモデルの変革へと段階的に進めていくことが求められます。

  • 現状の把握と課題の抽出

デジタライゼーションを進めていく際には、最終目的である顧客への新しい価値の提供・市場優位性の獲得といったDXの実現を常に意識していく必要があります。

顧客ニーズを的確にとらえることで、何をどう変えるべきなのか、現在あるものをどう改善できるのかが見えてきます。

具体的にはデータの形式や業務フローの最適化を実施しながら、効果を図り、最終目的に沿った方向性に進められているのかを振り返ります。

  • スモールスタートを各所で積み重ねる

DXの事例で見てきたように、多くの企業ではデジタライゼーションを行い、DXへとつなげています。各部署におけるスモールスタートを積み重ね、組織的なDXに至る道を探るのが挫折を回避する良策と言えるでしょう。このとき、常に状況の変化を見極めながら、短いスパンで開発・対応・実施を行うことが重要です。

  • 自社独自のデジタライゼーションを考える

デジタライゼーションやDXによるビジネスモデルの改革は、将来を見据えて顧客ニーズの変化や多様性に対応できることが前提となります。デジタライゼーションの実施にあたっては、自社の事業発展に役立つものなのかを見極めながら採用していくことが求められます。

他社事例は参考にはなっても、そのまま適用できるとは限りません。自社業務に合わせ、独自の手法でデジタライゼーションを進めていくことが重要です。

 

DX推進については、以下の記事で詳しく解説しています。併せてぜひご覧ください。

最短で効果的にDXを推進する方法

デジタライゼーションへの取り組みでDX実現をめざす

DXをはじめ、現代の企業経営にとって重要な新しい用語が次々と登場しています。DX、デジタライゼーション、デジタイゼーションといった用語は一見難解そうですが、すべてが事業を継続していくためのプロセスです。それぞれについての理解を深めることで、今自社に必要とされる取り組みが見えてくるでしょう。DXへの道は決して容易ではありません。方向性や施策に悩むときには、DXに精通したプロの知恵を活用することも大切です。

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参考:

業務効率化・働き方改革のお役立ち資料

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