文書管理の重要性と効果的なシステム導入のポイントを解説

文書管理の徹底は、業務効率化に大きな効果を発揮します。しかし、管理のルールが統一されていないとかえって業務が滞ってしまうケースも少なくありません。適切に文書管理を進めていくためのポイントは、管理のルール統一と文書の電子化です。そこで、今回は改めて文書管理の重要性に触れたうえで、文書管理システムのメリット、導入の進め方や社内での推進ポイントをお伝えします。
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文書管理の重要性
企業活動で用いるさまざまな文書は、作成から活用・処理・伝達、保管まで文書ごとのライフサイクルに合わせ、適切に管理しなければなりません。
文書の適切な管理が重要とされる主な理由は、「企業の社会・法律的な責任を果たすため」「従業員が効率的に働くため」の二つです。それぞれの理由について詳しく解説します。
企業の社会・法律的な責任を果たす
文書は法律によってそれぞれ保存期間が決められています。経理関連でいえば、総勘定元帳や株式配当簿といった重要書類は10年、請求書や契約書、仕入伝票など取引に関する書類は7年、財産形成非課税住宅(年金)貯蓄申込書、同申告書などは5年です。
それぞれの文書の保存が定められている理由は、請求書や注文書のような証憑書類の場合、取引の正確性や真実性を証明するためです。そして、総勘定元帳や入出金伝票のような帳票書類の場合は、会社や店舗で行われた取引の正確性や真実性を証明するためです。
これらを法律で定められた期間保存し、何かしらの問題が発生した際には、企業として社会的、法律的な責任を果たすためすぐに開示する必要があります。そのためにも適切な文書管理が重要になります。
また、社会的責任の点においては、適切な文書管理で文書の盗難や保管・保存先のPCやサーバー等へのサイバー攻撃を防ぐことで、顧客の個人情報や機密情報の漏えい防止、コンプライアンス強化も可能です。
従業員が効率的に働ける
適切な文書管理は、従業員の業務効率化にも大きく貢献します。たとえば経理業務において、過去の請求書がどこにどのように保管されているかがわからないと、必要になる度に探さなくてはなりません。
また、経理業務以外でも会議資料や業務マニュアルが適切に管理されていれば、ほかの従業員に教えてもらう必要がなくなり滞りなく業務を進められます。
従業員が無駄に時間を取られず効率的に業務を進めていくうえでも、文書管理が大きな役割を果たしていると言えるでしょう。
※ 文書管理効率化の重要性についてより詳しくは、「業務の改善・スピード向上を文書管理の効率化で実現」をご覧ください。
適切な文書管理の進め方
企業として社会的にも法律的にも責任を果たし、そのうえで従業員が効率的に働けるようにするには、文書管理をどのようにして進めていけばよいのでしょう。ポイントは、「社内ルールの策定・周知」「文書の分類・保管」の二点です。それぞれについて詳しく解説します。
社内ルールの策定・周知
適切に文書管理を行ううえでもっとも重要なポイントは社内ルールの策定です。従業員一人ひとりが自分のルールで文書管理を行うようでは、いざというときに必要な文書を見つけ出せなくなります。
もう一つのポイントが周知です。明確な社内ルールを策定したとしても従業員が把握していなければ意味がありません。部署ごとに上司が従業員に対して周知を行い、さらにいつでも誰でもすぐにルールの確認ができる場所に保管しておきましょう。
文書の分類・保管
ルールの策定、周知を行ったら、実際に文書管理を進めていきます。ポイントとなるのは文書の分類と保管です。
- 文書分類のポイント
破棄するものと保管するものを明確に分類します。法律によって保存期間が決まっているもの以外の文書や資料などは、破棄もしくは保管のどちらかに分類しましょう。
分類の方法は、まず従業員一人ひとりが自身の所有する文書や資料を破棄と保管のどちらかに分け、それを部署ごとに検討しましょう。部署での検討により破棄となれば破棄、保管となれば保管として進めていきます。
また、保管するものに関しても、ただ保管とするのではなく紙として保管するのか、電子化して保管するのかを決め、そのうえで必ず期間を決めておくことが重要です。ルール策定の時点で文書ごとの保管期限を決めておき、それに沿って保管を行いましょう。 - 文書保管(紙の文書)のポイント
文書保管とは保存とは異なり、いつでもすぐに利用できる形で管理することを指します。紙の文書と電子化された文書でも保管方法は異なるため、まずは紙の文書を保管する方法を解説します。
一般的に紙の文書はファイルに入れて保管しますが、ファイリングの方法は、「バーティカルタイプ」「バインダータイプ」「ボックスタイプ」の大きく3つあります。
バーティカルタイプは、文書を薄いフォルダーに挟み、引き出し型の書庫や机に保管する方法です。挟むだけであるため、出し入れがしやすく、フォルダー自体が薄いことから一か所に多くの文書を格納できるメリットがあります。綴じるのが難しい冊子型の業務マニュアルや、大きさが異なる領収証などの保管に便利です。
バインダータイプは、背表紙が付いているバインダーに文書を入れ保管する方法です。書庫に横並び縦並びどちらでも保管が可能で、背表紙があるため視認性が高いというメリットがあります。ただし、文書をフィルムに入れる、穴を開けて綴じるなど収納に手間がかかるため、頻繁に出し入れする必要のない文書を保管するのに適した方法と言えるでしょう。
ボックスタイプは、ボックスファイルに文書を入れ保管する方法です。文書をそのまま収納するケースのほか、バーティカルタイプで説明した薄いフォルダーを種類ごとにボックスに入れる方法もあります。より文書の整理がしやすくなるのが大きなメリットで、フリーアドレスの場合、持ち運びにも便利です。 - 文書の保管(電子文書)のポイント
電子文書の主な保管場所は、「社内のファイルサーバー」「クラウドサービスのサーバー」「従業員個人が使うパソコンのローカルフォルダ」などがあげられます。
ポイントは、紙の文書と同様に保管ルールの徹底です。特に電子で作成された文書は修正や書き換えを重ね、同じ内容の文書が別名で保存されていたり、さまざまな場所に保管されたりする可能性もあります。そのため、修正や書き換えた文書の命名や保管場所のルール策定は徹底して行うことが重要です。
※ 電子化された文書の管理についてより詳しくは「デジタル文書管理が困難な理由とその解決策を解説」をご覧ください。
紙の文書を電子化して活用するメリット
適切に文書管理を進める方法について解説しましたが、文書管理でより業務効率化を目指すのであれば、紙文書の電子化がおすすめです。電子文書を活用する主なメリットは、「多様な働き方の実現」「ペーパーレス化への対応」「生産性の高い業務への集中」があげられます。
多様な働き方の実現
紙の文書を電子化したうえで、クラウドやネットワークにアップロードしインターネットを介して閲覧できる状態にすることで、どこにいてもオフィスにある文書の閲覧が可能になります。紙の文書を確認するためオフィスに出向く必要がなくなり、テレワークやサテライトオフィスの利用など多様な働き方が実現しやすくなるでしょう。
また、オフィスにおいても従来の部署ごとで固まるレイアウトを廃止し、フリーアドレスの導入も可能になります。書庫を減らすことでオフィススペースを有効活用し、自由なレイアウトができたり、余剰なオフィススペースを縮小できたりするようになるのも、電子化のメリットと言えるでしょう。
※ テレワークを実現させるための文書管理のポイントについて詳しくは、「テレワークの準備をするうえで欠かせない文書管理のポイントを解説」をご覧ください。
ペーパーレス化への対応
これまでの慣習もあり、なかなか電子化へ踏み切れない企業も多いかもしれません。しかし、2022年1月の電子帳簿保存法改正により、電子化された文書の保存要件がかなり緩和されたことから、ペーパーレス化への流れがますます進みつつあります。
取引先が電子化業務をすでに実施していて業務標準化されている企業であった場合、紙の文書でのやり取りは手間が増えるだけでデメリットが多く、場合によっては取引を敬遠されてしまう可能性もゼロではありません。世の中の流れに合わせるうえでも、電子文書の活用は不可欠になると言えるでしょう。
生産性の高い業務への集中
たとえば経理業務において、請求書の発行や郵送の作業は取引先が多いほど手間がかかり本来の業務を行う時間が削られてしまいます。電子化が進めば、請求書の発行から取引先への送付までの手間が大幅に軽減され、重要業務にかけられる時間が生まれ、生産性向上も期待できるでしょう。
社内で文書管理を推進するポイント
IT技術の進化や電子帳簿保存法改正により、今は紙文書の電子化を進める絶好の機会となっています。この機会を生かし電子化を推進していくためのポイントは、「現状の課題点把握」「適切な文書管理システム導入」の2点です。
現状の課題点把握
紙での文書管理によってどのような業務が滞ってしまうのかを明確にしましょう。競合が電子化を進めているから、時代の流れだからといった理由だけでは、決裁権を持つ上司や経営層の理解は得られません。電子化を進めなければならない具体的な課題点を明確にします。
適切な文書管理システムの導入
紙文書での課題点を克服するには、単純に電子化を進めるのではなく、電子化された文書の適切な管理が欠かせません。また、電子帳簿保存法でも、データのまま文書を保存したり、タイムスタンプの付与を不要にしたりするには、改正された電子帳簿保存法に対応しているシステムの導入が必須です。
自社の課題点を克服できるシステムであることはもちろん、電子帳簿保存法に対応したシステムであることも必ず確認したうえで導入を進めましょう。
NTT印刷では、「まるごと電子化 電帳法対応パッケージ(With EBM)」といった電子帳簿保存法に対応したサービスも展開しています。
スムーズな文書管理のポイントはプロへの依頼
適切な文書管理は、業務効率化はもちろん、情報漏えい防止にも大きな効果を発揮します(情報漏えい防止について詳しくは、「文書管理システムを活用するメリットと効率的な活用のポイント」をご覧ください)。また、より適切に文書管理を進めるには、紙文書の電子化と文書管理システムの導入が欠かせません。テレワークやフリーアドレスの導入、生産性の高い業務への集中など多様な働き方や利益向上にも貢献します。
しかし、文書管理だけでも大きな手間なうえ、電子化を行うまでのすべてを社内で賄うのは簡単ではありません。そこでおすすめなのが、NTT印刷が提供する、「まるごと電子化 文書管理ソリューション」です。お客さまへのヒアリングから運用ルールの策定、文書分類、電子化、管理システムの導入までを支援します。
文書管理の重要性を感じながらもなかなかうまく進まない場合は、ぜひお気軽にご相談ください。
参考:
- 文書管理とは|住友電工情報システム
- 文書管理とは?書類保管の基本や文書管理システムの機能も解説|ITトレンド
- 文書管理とは?目的やメリット、社内に浸透させるコツも解説|Knock
- 【保存版】文書管理の“いろは”を徹底的に網羅したまとめ|まもりの種
- 文書管理とは? 社内文書を整理し業務効率向上を図るポイントをご紹介|大塚商会
- 文書管理とは?重要性・目的・方法・システム導入の比較ポイント|SmartDB
- 文書管理はなぜ必要か?その目的とビジネスにおけるメリットを解説|NotePM
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