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業務改善とは?概略と取り組みに役立つ情報をまとめて解説

業務改善とは?概略と取り組みに役立つ情報をまとめて解説

社会構造の変化やグローバル化する市場競争に対し、政府は企業の生産性向上を強く促しています。現場で必要とされるのは、業務遂行のさらなる円滑化です。無駄をなくし、作業の標準化を進めることにより、厳しい状況下にあっても、競争力を維持し続ける力を獲得していかなければなりません。そのためには業務フローや環境、人員配置の見直しといった業務改善が求められます。今回は業務改善の基本的な考え方と、具体的な進め方や注意点について解説していきます。


<CONTENTS>

 「業務改善」の概要

  業務改善とは

  業務改善のメリット

 「業務改善」の進め方

  業務改善の基本的な流れ

  業務改善を進めるための施策例

 「業務改善」に役立つフレームワーク

 「業務改善」を進めるうえでの注意点

 業務改善で経営基盤の強化を図る


 

「業務改善」の概要

はじめに、業務改善の基本的な情報を整理していきます。

業務改善とは

業務改善とは企業活動において、現状の業務フローの不備や課題を是正し、より良い状態にすることを指します。健全な経営を促すために、業務上の課題や不具合を継続的に見直し、業務効率化を図ります。

業務改善では、事業内容を維持しながら基本的な業務プロセスを変えず、より優れたやり方にすることで生産性を上げていきます。これに対してプロセスの変更を伴うものは、「業務改革」となります。

業務改善のメリット

業務改善のメリットとしては、以下のような効果が期待できます。

業務効率の向上:

業務プロセスの最適化により無駄な作業をなくし、従業員の負担を減らしながら作業効率を上げる

属人化を回避:

システム導入やルールの確立を通じた業務の標準化により、特定の人材が不在のときでも遅延なく作業が進められる

効率化による人材不足への対応:

ツール導入による作業の自動化、オンラインシステムの導入による働き方の多様化実現などにより、配置人数の削減、採用対象の拡大が可能となる

コスト削減:

システム・ツール導入、フローの見直しなどにより人件費・光熱費などの削減につながる

働き方改革への対応:

業務効率の向上による残業、長時間労働の是正。システム導入やワークフローの改善などにより、多様な働き方への対応が可能となり、ワークライフバランス実現につながる

 

企業利益に貢献する業務プロセスの改善については、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてぜひご一読ください。

利益増大に必要な業務プロセスの改善、簡単で効果的な方法をご紹介

 

「業務改善」の進め方

業務改善の進め方と、施策へのヒントをご紹介します。

業務改善の基本的な流れ

業務改善は、現状から課題を見出し、改善への方向性を定め、各施策を実施していくという流れが基本です。具体的には以下の手順となります。

1.勤務状況の確認、業務の把握:

タイムカードや日報のチェック、現場担当者からの聞き取りなど幅広く情報を収集し、現状の業務がどのような姿にあるかを正しく認識する。

2.業務分析:

集められた情報をもとに、課題の抽出と整理を行い業務改善の方針を決定し、ゴールを明らかにする。このとき、定量分析・定性分析を適宜使い分けることで根本的な課題の洗い出しが可能となり、より効果の高い方向性を見出すことができる。

3.実施計画の立案:

人員・体制・環境の構築など、最終的な目標に向けて現実的な視点をもって計画を策定していく。

4.計画の実施:

システム導入・工程の自動化など、現状から勘案して実施可能な分野から着手。必要があれば外部委託も検討する。

業務改善における外部サービスの活用については、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてぜひご一読ください。

業務改善の進め方  外部コンサル利用のメリット・デメリット

 

5.PDCAサイクルによる検証と改善:

施策ごとの成果と不具合を確認し、効果の検証を行う。中長期的な視野をもって、軌道修正を重ねることで将来に向けた着実な業務改善につなげられる。

 

業務フローの改善を成功させるためのポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてぜひご一読ください。

業務フロー改善を成功に導く3つのポイント

ただ、漠然と業務効率を上げたい、業務を改善したいといっても何から着手すればいいのかとまどう方もいるかもしれません。そうした場合は、以下に示す企業の生産活動の3要素(QCD)と、企業活動全般についての4要素(4M)を重視するとよいでしょう。

⮚QCD:Quality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(納期)

⮚4M:Man(ヒト)・Material(モノ)・Machine(設備)・Method(方法)

 

業務改善は、誤解を生みがちですが、コスト削減と必ずしもイコールではありません。

コストはQCDのCにあたりますが、例えば、コスト削減に注力すると品質(QCDのQ)が落ちてしまう、といったように、それぞれの要素はトレードオフの関係にあります。1つの要素ばかりに注力するのではなく、それぞれの要素に優先順位を付け、全体のバランスを見ることが重要です。

また、4Mは業務プロセスを遂行するために必要な4つの要素で、各業務プロセスに各要素がどのようにかかわっているのかを考えれば、業務の洗い出しがしやすくなるでしょう。

業務改善の実現方法については、以下の記事でも詳しく解説しています。あわせてぜひご一読ください。

業務改善を実現させるための方法とは?

 

業務改善を進めるための施策例

現状把握および業務状況の可視化を図る

業務同士の連携状況、業務遅滞が確認される箇所を明らかにするために作図などによってわかりやすく整理していきます。課題がどこにあるのかを明確に認識することで、行うべき改善を見出すことができます。

業務ごとのプロセスをフローチャート化することでさらに作業の詳細を把握でき、無駄な業務の洗い出しに役立ちます。情報共有の手段を工夫する、徹底を図ることにより不要な会議や打ち合わせの回数を減ずることが可能となります。

IT技術による業務効率化

RPA(Robotic Process Automation)導入による定型化された作業の自動化、クラウドやオンラインソフトウェアの活用による情報共有や場所を選ばない業務遂行など、IT技術の利用を前向きに検討することは業務改善への足掛かりとなります。コミュニケーションツール、タスク管理ツールなど、現場に受け入れられやすく、効果が見えやすいツール導入から着手することで小さな成功体験を重ねていきます。

業務の住み分けによる優先順位の明確化

企業活動におけるコア事業・ノンコア事業と同様、個人業務単位においてもコア業務・ノンコア業務があります。企業利益に貢献が大きいコア業務は定型化が難しく、専門性が問われる場合もある一方、ノンコア業務はコア業務をサポートする役割を担いますが、比較的専門性が低く定型化できる作業も多く見られます。各業務の区分を行うことで、自動化できる作業と優先度の高い作業が明らかとなり、業務改善を進めるうえで重視すべきポイントがわかりやすくなります。

「業務改善」に役立つフレームワーク

業務改善を進めるうえで役立つ、主な考え方の枠組みをご紹介します。

BPMN(ビジネス・プロセス・モデリング表記)

BPMNは国際標準規格に認定されている、業務フローの表記法です。四角形、丸、矢印などの簡単な表記を用いて業務フローを図で表し、「Yes」と「No」で質問に答えていくことで最善策を導きだすために役立ちます。

バリューチェーン分析

バリューチェーンとは「価値の連鎖」を表し、業務活動ごとに生み出される付加価値を分析することを意味します。価値のある分野、問題のある個所を明確にしていくことで、企業にとって重視すべきポイントが浮かび上がります。

ECRS(イクルス)

「E(Eliminate)排除」・「C(Combine)結合」・「R(Rearrange)」再配置・「S(Simplify)簡易化」の頭文字を表します。上記の4つの視点に基づいて改善すべき箇所を抽出することで、課題が整理されます。

ロジックツリー

課題に対して「なぜ」を繰り返すことで、根本的な原因に到達する手法です。抽象的な課題を具象化するのに役立ち、ここから具体的な施策に結びつけられます。

 

「業務改善」を進めるうえでの注意点

業務改善に取り組む際に押さえておくべきポイントには、以下のようなものがあげられます。

優先順位の明確化

業務改善施策には、多様な方法があります。しかし、他社事例に惑わされてあれもこれも一度に行うと、すべて中途半端な結果になりかねません。自社にとって喫緊の課題であるものを明確にし、もっとも効果の見えやすい箇所から行って成功例を重ねながら、徐々に範囲を拡大していくといったやり方が合理的です。

中長期的な視点をもつ

業務改善は一度行って終わりではなく、社会や市場環境の変化に対応していくため、長期間にわたって継続的に取り組むことが重要です。最終的に大きな改革へとつなげるためにも、現状把握に努め、短期的な目標設定を工夫していきます。

自社の現状に即した施策の実施

業務に合わない自動化・ロボット導入や、現場を無視したノー残業デーなど、他社では効果がある施策であっても、自社の現状と合わない場合には導入の意味がありません。現場の状況を十分に把握したうえで目標設定を行い、それに沿った施策を考えることが大切です。

現場との意識共有

業務改善の多くは、現場で実施されます。従業員との意識共有が不十分なまま、トップダウンでの押し付けは反発を招きかねません。

なぜ業務改善が必要なのか、それによって実現できる体制や理想的な業務のあり方を理解するための機会を提供し、現場における自発性を促していくことが求められます。

問題の本質を意識する

「残業を減らす」「商品品質の安定」といったものは、目に見える課題の解決に過ぎません。残業にペナルティを課す、品質管理を厳しくするといったことは、業務改善と呼べず、逆に現場での業務を圧迫する可能性があります。業務改善では冷静な視点から現状を見つめ直し、内在する根本的な課題に目を向ける姿勢が重要です。

 

業務改善で経営基盤の強化を図る

企業経営におけるさまざまな難局を乗り切っていくためには、企業の体力強化を常に実施していく必要があります。業務改善は日々の業務効率を向上し、生産性を高めていくための大きなカギとなります。経営基盤を強固にしていくためには、現状に甘んじることなく課題に取り組む姿勢が求められます。

業務改善を着実に行うためには、業務分析によって「現状業務の把握」と「業務課題の抽出」を行うことが必要です。業務分析が適切に実施されないまま業務改善に取り組んでも、課題の洗い出しが不十分であったり着手すべき優先順位が誤っていたりして、改善活動が実を結ばなくなる可能性があります。
業務分析では、該当業務に携わるすべての部署と連携して業務全体を把握することが重要ですが、全社的な業務分析に取り組むことが難しい場合もあります。

NTT印刷ではAIを活用し業務フローを可視化することで、業務改善のポイントを見極める支援を行うサービスを提供しております。業務改善により企業活動の円滑化を図るために、ぜひお役立てください。

AI業務分析|サービス紹介|まるごと電子化


参考:

業務改善を成功に導く業務分析の進め方(AI業務分析サービス)|お役立ち資料|まるごと電子化

事務作業も効率化!~業務改善に重要な4つの視点とその順序~|お役立ち資料|まるごと電子化

業務改善のアイデアは?業務改善の基本手順と取り組みの際の注意点|コボット

業務改善を効果的に進めるポイントは? メリットや事例まで徹底解説|Adecco

生産性を上げる「業務改善」とは?実施の手順や注意点を解説|Persol

業務改善とは?改善を進める4つのポイントをご紹介|DesknetsNeo

業務改善とは?改善の手順とおすすめツール11選|SensesLab

業務改善アイデア事例を紹介!基本的な考え方や注意点も解説|SmartDB

業務改善はなぜ必要?業務改善の目的について解説|顧問バンク

業務改善に役立つフレームワーク9選

 

業務効率化・働き方改革のお役立ち資料

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